2007年6月5日火曜日

ごみを喰う男  中村 敦夫

中村 敦夫先生の作品ということで、それなりに政治に造詣が深い作品
かと思いきや、エンターテイメント色が強い作品でした。

何気に、読み飛ばしてしまって思い出は少ない。。


商品の説明
ごみを喰う男
俳優で元参議院議員の著者が環境ミステリー小説という新分野に挑戦した。
主人公は禅僧の柳沢法舟。元警察官僚という異色の経歴の持ち主である。ある朝、法舟は多摩川上流でバードウオッチング中、渓谷から流れてくる男の死体を発見する。鑑定結果は他殺。被害者は地元の土建業者社長・亀山満だった。

この地域はごみ最終処分場をはじめ、補助金付き公共事業を推進することで、自治体としては例外的な黒字財政を実現していた。一方、ごみ最終処分場が招く環境破壊、公害問題などによって行政と住民は対立し、トラブルが絶えない。

今また、「究極のごみ問題解決策」とのうたい文句で、焼却灰を加工してセメント化する環境セメント工場の建設話が持ち上がっていた。環境セメント工場建設には専用の道路、工場に電力を送るための鉄塔も必要。それらの建設を強引に進めようとしていたのが亀山だった。

そんな中、道路・鉄塔建設のための所有地売却を最後まで拒んでいた天照神社の神主・国丸勘助が行方不明となる第2の事件が起きる。

「小欲知足」を訴える

折しも、町は国政選挙のまっただ中。事件は与党の大物政治家・青木重蔵、その息子で後継者の青木裕一郎、対立する野党の衆議院議員候補・赤座正造、自然保護団体、産廃処理業者らが絡む複雑な構造を見せるが、法舟は自らの手で2つの事件の犯人を突き止める。

本書は、東京都西多摩郡の状況をモデルとしているという。「手を変え品を替え、ごみを食いものにする」人間が後を絶たないとの法舟の嘆きは、ごみが巨大な利権構造を生んでいる実態を憂う著者の嘆きそのものであろう。

著者は登場人物に繰り返し「小欲知足」という仏教の言葉を語らせ、大量生産・大量消費にひたる人間の“貪欲”をいさめている。小説を通して、一人ひとりの人生においても、また広く環境問題の解決に当たっても、この言葉が重要な意味を持つことを訴えかける。


(日経エコロジー 2007/04/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)


出版社/著者からの内容紹介
俳優で政治家経験もある著者が、ゴミ、産廃問題を下敷きに描く社会派推理。現場調査を重ねた意欲作。
ゴミを通して現代が見える。





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