2008年12月25日木曜日

灰色の北壁 ~ 真保 裕一

これ、前に読んだ。。でもココに書いたかどうか覚えてないので
今回のカンソウを。

オチを知っている割にはまた楽しめるということは、ネタの切り方と
文体がうまいということ。

オチをしらなければもっと楽しめる、なので、山にまったく興味がない
人も、ミステリーや人間模様を楽しむ感覚で読むといい。

短編集だけど全てが高いクオリティ、そして読後感もすっきり。

内容(「BOOK」データベースより)
世界のクライマーから「ホワイト・タワー」と呼ばれ、恐れられた山がある。死と背中合わせのその北壁を、たった一人で制覇した天才クライマー。その業績に疑問を投じる一編のノンフィクションに封印された真実とは…。表題作ほか全3編。山岳ミステリー集。

2008年12月24日水曜日

21 twenty one ~ 小路 幸也

正直、オチはあまり期待しないで、展開と仲間の心の展開だけで
読んでいって欲しい。

確かに感動めいたことはあるかもだけど、青春自体を振り返る感じで
「こういったことあるねえ・・・」という流れで楽しむといいかと。

ミステリーとしてはイタイ作品、でも感動作としては、、、それもイタイか。

内容(「BOOK」データベースより)
中学校入学の日、担任になった先生が僕たちにこう言った。「ここにいる21人が今日から卒業までの仲間です。そして、なんと21世紀に、21歳になる仲間です」なんでもない、他愛もない、ただの偶然。でもその偶然が重なって集まった仲間が21人いる。その事実が僕たちに強烈な連帯感をもたらした。21世紀に、21歳になる21人。僕たちは“21”というもので繋がれた仲間。21・21・21。“twenty one”だ。そして、ずっと変わらない仲間だと、無邪気に信じていた…。なぜ自ら死を選んだ?僕たちに何も告げず。特別な絆で結ばれていると信じていた人を突然喪ったとき、胸に込み上げる思いをどうすればいいんだろう…。大きな注目を集める著者が“生きていく意味”を深く問いかける感動作。

2008年12月23日火曜日

ラットマン ~ 道尾 秀介

さすが。今年一番と評されるほどの作品だけはある。

帯びや書評、また途中までは非常に怖くて生々しいかと思いきや
それをぎりぎりのところで回避していく。
これも「ラットマン」とわざと関係している展開なんだろう。

細かいことをいうと、意味がないのであえて内容については何も
記述しないけど、ミステリー好きは絶対読んで損なし。

最後の最後まで見逃せないぞぉ。

内容(「BOOK」データベースより)
結成14年のアマチュアロックバンドが練習中のスタジオで遭遇した不可解な事件。浮かび上がるメンバーの過去と現在、そして未来。亡くすということ。失うということ。胸に迫る鋭利なロマンティシズム。注目の俊英・道尾秀介の、鮮烈なるマスターピース。

2008年12月22日月曜日

瑠璃の海 ~ 小池 真理子

ま、盛り上がりも分かりやすく、オチもほとんどバレバレの作品。
ただ、文体や展開はつまらないわけじゃないので、まあ電車の中での
暇つぶしにはなる。

家でじっくりはまって読むほどじゃあない。


内容(「BOOK」データベースより)
晩秋の夜、高速バスが炎上。この事故で夫を失った園田萌と、娘を亡くした作家・石渡遊作が出会ったのは、二か月後の遺族会がはじめてだった。喪失の同じ痛みが、ふたりを分かちがたく結びつけてゆく。だが孤独と絶望の淵からはじまった愛は、スキャンダラスに取りざたされることに。互いに溺れ、社会に背をむけたふたりに残されているのは、この恋に殉じること。究極の道行を描く渾身の恋愛長編。

2008年12月21日日曜日

リアルワールド ~ 桐野 夏生

桐野作品っぽいというか、このパターン以外かけないんじゃないかと思い始めてきた
今日この頃。

桐野作品はもう結構読んでいるけど、展開といい文体といいオチといい
結構読めてくるから怖い。

ただ、それがつまらないという意味じゃなく、ドキドキ感がちょっとづつなくなってくる
って感じ。

内容は、高校生の犯罪とそれを取り巻く同学年の女子たち、それと女子たちの内面
が絡み付いてくる骨太作品。

犯罪っていう視点より、女子高生の内面や友だち関係の怖さ、みたいなもので
読み始めるといいかも。


内容(「BOOK」データベースより)
高校三年の夏休み、隣家の少年が母親を撲殺して逃走。ホリニンナこと山中十四子は、携帯電話を通して、逃げる少年ミミズとつながる。そしてテラウチ、ユウザン、キラリン、同じ高校にかよう4人の少女たちが、ミミズの逃亡に関わることに。遊び半分ではじまった冒険が、取り返しのつかない結末を迎える。登場人物それぞれの視点から語られる圧倒的にリアルな現実。高校生の心の闇を抉る長編問題作。

2008年12月17日水曜日

東京公園 ~ 小路 幸也

いや~、相変わらず感動させるっぽい展開。今回は慣れていたので
そんなにドスンとこなかったけど、ところどころに泣き所が
隠れている。

いろんな男女の思いがところどころで展開され、最後の一つへと
集約されている。
映画やドラマに最適で、オチも一昔前のドラマのよう。

懐かしい青春ものが読みたい人に是非。


内容(「BOOK」データベースより)
「幼い娘と公園に出かける妻を尾行して、写真を撮ってほしい」―くつろぐ親子の写真を撮ることを趣味にしている大学生の圭司は、ある日偶然出会った男から奇妙な頼み事をされる。バイト感覚で引き受けた圭司だが、いつのまにかファインダーを通して、話したこともない美しい被写体に恋をしている自分に気づく…。すれ違ったり、ぶつかったり、絡まったりしながらも暖かい光を浴びて芽吹く、柔らかな恋の物語。

2008年12月16日火曜日

獄窓記 ~ 山本 譲司

政治家の本を読むのは久しぶりだけど、これはまったく異色の作品。
そして、相変わらずマスコミのいい加減さと怖さがじわりと伝わってくる。

ノンフィクションなので、政治やマスコミ系が好きな人には本当にお勧め。
後半からは獄中のネタになるので、そこはまたリアリティがあって面白い。

いろんな山ごとに楽しめて、とても素人とは思えない筆力。
骨太で面白いノンフィクションを求めている人には是非。


内容(「BOOK」データベースより)
そこは「塀の中の掃き溜め」と言われるところだった。汚物にまみれながら、獄窓から望む勇壮なる那須連山に、幾重にも思いを馳せる。事件への悔悟、残してきた家族への思慕、恩人への弔意、人生への懊悩。そして至ったある決意とは。国会で見えなかったこと。刑務所で見えたこと。秘書給与事件で実刑判決を受けた元衆議院議員が陥った永田町の甘い罠と獄中の真実を描く

2008年12月15日月曜日

ありふれた風景画 ~ あさの あつこ

実ははじめて読んだあさのあつこ作品。



女子高生二人の短編集だけど、まあ、、、、学生には面白いだろうなーって本。
もういい年のおっさんが読んでもたいした感動もなく、、、。

売れるのも分かるし、評判がでるもの分かるけど、人に勧めるかというと
難しいところ。

女子高生になんかさくっと楽しめる本がないかと聞かれたら、ちょっとお勧めする程度。
いい大人は、、違う本を読もう。


内容(「BOOK」データベースより)
十代って残酷な年代だ。出会いも別れも生々しく、儚い。ウリをやっていると噂される琉璃。美貌の持ち主で特異な能力をもつ周子。傷つき、もがきながら、生きる少女たちの一年間を描くみずみずしい青春小説。

2008年12月14日日曜日

フィッシュストーリー ~ 伊坂 幸太郎

映画化もされた超有名な作品。
というか、伊坂作品で映画化されてないのを探すほうが難しいが。
ただ前評判の割には、そんなに「ドスン」とくる作品でもなく
まあ、よくある伊坂作品という感じ。

短編集なのでどれか一つは絶対気に入ると思うけど、表題のフィッシュストーリーは
絡みつきかたといい落ちといいまあ、微妙。。あるといえばある、というネタなので
感動作を求める人にはNG。


内容(「BOOK」データベースより)
「なあ、この曲はちゃんと誰かに届いてるのかよ?」売れないロックバンドが最後のレコーディングで叫んだ声が時空を越えて奇蹟を起こす。デビュー第一短編から最新書き下ろし(150枚!)まで、小気味よい会話と伏線の妙が冴える伊坂ワールドの饗宴。


2008年12月6日土曜日

シャングリ・ラ 下 (角川文庫) ~ 池上 永一

長い。。この本をよみ終わるまで、実質3日かかった。
だけど途中で退屈することもなく、どんどん先が気になる展開だった。

SFだから、全てが荒削りだけど、たまにはこんなむちゃくちゃな設定と
どたばたもいいかも。
ただ、最後の最後でよくあるハリウッド系のオチや強引な二転三転だったので
ちょっとだけ興ざめ。

よみたいと思えるようなSFがないときは是非どうぞ
↓↓↓


内容(「BOOK」データベースより)
ついに反政府ゲリラは政府に宣戦布告。國子はブーメランひとつで戦車部隊に立ち向かう。だが地上の森では政府とゲリラの戦争をあざ笑うかのように、想像を超えた進化が始まっていた。究極のエコロジー社会がもたらす脅威とは?國子たちは生き残れるのか?アトラス計画の真の目的とは?ゲリラ豪雨、石油価格の高騰、CO2の取引など、2004年に既に現在を予言し、SFを現代小説に転換した傑作長編。



2008年12月5日金曜日

恩はあだで返せ ~ 逢坂 剛

よくある刑事コンビだけど、まあそこそこ面白かも。
赤川次郎でも同じような設定があったけど、これは上司と部下でありつつ
同級生ってのがミソ。

なんとなく、誰が本当に切れ者なのかが分かりづらい話だけど
まあ、なんとなく楽しめる、そんな刑事本。


出版社/著者からの内容紹介
御茶ノ水署の迷走コンビが挑む珍事件の数々!
「怪しい男が通行人に迷惑をかけている」生活安全課に苦情の電話が入った。早速現場に向かった斉木斉と梢田威だったが…。(「木魚のつぶやき」)など、大好評スラップスティック警察小説集。


2008年12月3日水曜日

天使のナイフ ~ 薬丸 岳

いや~、すごい。これは久しぶりの本格ミステリー。
江戸川乱歩賞の中でもトップクラスにあたる本。

詳細はいえないけど、and あんまりいい設定じゃないけど、この流れといい
後半からの怒涛の勢いは新人とは思えない。

まあ、人によってはいろいろ意見もあるかもだけど、乱歩賞作品とし
て素直によめば満足度高い。
↓↓↓

出版社 / 著者からの内容紹介
生後五ヶ月の娘の目の前で惨殺された妻・祥子。夫・桧山貴志は耳を疑った。犯人は、十三歳の少年三人。四年後、犯人の少年の一人が殺され、桧山は疑惑の人となる。少年たちの事件後を追う桧山に付き付けられた、信じがたい真実、恐るべき過去――。

更生とは何か。本当の贖罪とは何なのか。少年法をめぐる論争の死角に迫るとともに、”読み出したら止まらない”ミステリーの醍醐味を両立させた、選考委員も絶賛の話題作、ついに刊行!! 第51回江戸川乱歩賞受賞作。


2008年12月1日月曜日

魔女の盟約 ~ 大沢 在昌

ものすごい壮大なミステリー。

設定自体もすごいけど、その裏に隠された二重三重の
ネタ、さらにさまざまな事件、そして隠しネタ。。


ものすごい意志と強さをもった女性が主人公で、その生い立ちも
戦いもすごい。

骨太で、肉厚な本格ミステリー。これは読み応えあり。
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内容(「BOOK」データベースより)
忌まわしい事件に決着をつけた水原は、実は巨大な陰謀に利用されていたことを知る。韓国で知り合った女性捜査官・白理とともに日本に戻った水原は、真実を暴く戦いに挑む―。


2008年11月28日金曜日

人柱はミイラと出会う ~ 石持 浅海

ちょっとしたパラレルワールドの日本が設定の短編小説。
外国人の目線から日本の風土や風習を切り口として殺人事件を
解決していく。

まあ、小粒で面白いけど、もう一ひねり欲しかったかも。
最後の最後でちょっと笑えるオチが待っている。
↓↓↓

内容(「BOOK」データベースより)
留学生リリー・メイスは、日本で不思議な風習を目にした。建築物を造る際、安全を祈念して人間を生きたまま閉じ込めるというのだ。彼ら「人柱」は、工事が終わるまで中でじっと過ごし、終われば出てきてまた別の場所にこもる。ところが、工事が終わって中に入ってみると、そこにはミイラが横たわっていた。黒衣、お歯黒、参勤交代―。パラレルワールドの日本で展開する、奇っ怪な風習と事件の真相とは。

2008年11月26日水曜日

今日を忘れた明日の僕へ ~ 黒田 研二

井上夢人系の重ね重ね系のミステリー。

記憶をなくした主人公が自分の過去を調べていくうちに
殺人事件の1シーンがところどころよみがえりして。。。

設定は良くある系だけど、展開といい複線といいよくできている。
イッキミで楽しめる。
↓↓

内容(「BOOK」データベースより)
あの嵐の夜、僕は事故にあったらしい。それ以来記憶を蓄積できないからだになってしまった。僕は失われてゆく記憶を少しでも補うために、退院以来、かかさず日記をつけてきたのだ、と妻は説明してくれた。さらに事故に遭ってから半年のあいだに、いちばんの親友が失踪したのだとも。しかし親友が実は殺されていたことを知る。その一瞬、血まみれで死んでいる親友の姿がフラッシュ・バックしてきた。「どうして僕は見ているんだ?」…僕の事故と同じ日に死んだ妻の友人、親友の失踪直前に「自殺」した女子高生、さまざまな謎に取り巻かれていく僕。もしかしたら、「僕が殺してしまったのか?」メフィスト賞受賞の新鋭による騙りの新境地。



2008年11月25日火曜日

DZ(ディーズィー) ~ 小笠原 慧

さすが横溝賞をとっただけある。本格的なミステリー。
最後の最後までまったくオチが読めなかった。

ずっとドキドキするのは当然のことで、さらに医療系の
新しい事例やドキュメントっぽい記述もありで多面的に
楽しめる。

しっかし、、最後はそんなオチだとは、、こわいこわい。。
↓↓


内容(「BOOK」データベースより)
アメリカ・ペンシルベニア州で、夫婦の冷凍死体が発見された。五歳の息子は行方不明のまま、事件は迷宮入りする。一方、日本では、異常な兆候を示す少女がいた。数年後、恋人を亡くし、重度障害児施設に赴任した女医・志度涼子は、保護室に閉じ込められた少女に出会う。そして、運命の歯車は容赦なく回り始めた―。人類という種が背負った哀しい宿命を、壮大なスケールで描いたヒューマン・ミステリ。第二十回横溝正史賞正賞受賞作。

2008年11月22日土曜日

先生と呼ばないで―研修医純情物語 ~ 川渕 圭一

ほとんどノンフィクションの研修医の話。
結構リアルで、生々しい話。

グロイこともまったくない、苦労話メイン。
本当の医療現場を知ることができて、イマドキ医療系が問題
となっているので、そのあたり知りたい人は是非。


内容(「BOOK」データベースより)
自信満々の外科医の父への反発から遠ざけていた医療への道。患者への医療という立場を志し三十七歳で医者となった。が、病院の実態は患者のための医療を全く忘れ、高額のアルバイトに精を出す医師や教授回診を陰で支える研修医の過酷な労働だった。パチプロ、サラリーマンを経験した著者だから書けた、医療の原点を問うベストセラー初の文庫化。

2008年11月21日金曜日

ミス・ジャッジ ~ 堂場 瞬一

野球のメジャーがここまで盛り上がっている時期だからこそ、面白く読めるかと。

あまり才能がなかった主人公がなんとかつかんだプロ野球への道とメジャー
進出、しかし主人公以上の才能と実力をもった高校時代の先輩も審判として
メジャーデビューしていた。。

躍動感や野球人の精神状態など、いろんな意味で読み応えがある。
推理小説的な切り口や、アメリカ体感的な切り口があるので、野球に
興味がない人も楽しめるかと。


内容(「MARC」データベースより)
メジャーデビューを果たす橘由樹が登板する開幕戦、大観衆の見守るなか、ヤンキース対レッドソックスの激闘が展開される-。大リーガーとなった日本人投手と審判員との確執を描く、書き下ろし長編野球小説。

2008年11月18日火曜日

陽気なギャングが地球を回す ~ 伊坂 幸太郎

相変わらすキャラクター設定がうまい。
会話も見事、展開も二転三転、裏表。

伊坂作品、王道といった感じ。
ただ、まわしきれないような展開もあり、深みや読後感というところは
ちと弱い。

数ヶ月前に「オーデュボンの祈り」と「鴨と・・・・」を読んだせいも
あるけど、比べてしまって、、、という感じ。

Amazon.co.jp
確実に他人の嘘を見抜くリーダーを筆頭に、正確な体内時計の持ち主、演説の達人、天才スリという面々で組織されたギャング団が活躍する長編サスペンス。特異な才能を持つ4人の男女が、思わぬ事態に巻きこまれていく本書は、その真骨頂ともいえる痛快クライム・ノベルだ。

2008年11月15日土曜日

渋谷チルドレン ~ 家田 荘子

家田先生のルポタージュ。多くの人の「ナマの声」を集めている。
たまにぬるいネタもあるけど、それもわざと混合しているかと思われ。

とにかく、「今」を「現状」を「事実」を伝えようとしていて
変に盛り上げたり、ネガティブに持っていこうともしていない。

ルポの見本みたいな本が読みたい人は是非



内容(「MARC」データベースより)
女子高生・女子大生15人の「心とカラダ」を解剖する! 恋愛・初体験・レイプ・援交・性病・堕胎・SM・クスリ・DVそして家族関係…。10代ギャルの甘くて切ないSEXファイル。「事件」の街・渋谷から緊急ナマ告白。

2008年11月11日火曜日

ソリューション・ゲーム~ 伊園旬

前作にくらべて、ドキドキ感やイッキミ感はやや落ちる。
短編ということもあるけど、ひねったり、疾走感が伝え切れてない
印象。

一個の作品をもっとこねくりまわして、がツンとくるものを
作って欲しかった。
↓↓

内容紹介
第5回「このミス大賞」受賞作、『ブレイクスルー・トライアル』でデビューした著者による第2作です。舞台は六本木ヒルズ近くのIT系、巨大オフィス。親会社から持ち込まれる日常業務の謎を、子会社「ソリューション(問題解決)・ワークス」の敏腕サラリーマンコンビが鮮やかに解いていく連作短編集。

2008年11月10日月曜日

クローバー 島本 理生

さわやかな青春ものをよみたいときにはちょうどいい。
別に後でためになったり、感動して振るえるって話
じゃないけど、さくっと昔の恋心を思い出したいときに読む作品。

短編的に話が分かれているので、サクサクと。
↓↓

出版社からのコメント
世界はうつろい、大切なものさえ変わってゆく??それでも一緒にいたいよ。
ワガママで思いこみが激しい、女子力全開の華子。双子の弟で、やや人生不完全燃焼気味の理科系男子冬冶。ふたりの恋と未来は???キュートで痛快、やがてせつない恋愛長編。

2008年11月9日日曜日

疾走 ~ 重松 清

これまた重く、そして少年の心満載の話。

まあ、重松先生の話は、少年の深層心理がほとんど
だけど、その中でも特に深くえぐっている作品。

少年と少女が軸になり、成長しながら悲劇を繰り広げていき
最後の章立ては、もう、、これが、、また。。。

いつもの重松先生の感動話を期待したら大間違い。

まあ、最後の1Pに重松先生らしさがあるが、とってつけた感が
否めない。
↓↓


出版社 / 著者からの内容紹介
引きこもり、家庭内暴力、放火、借金、一家離散……。14歳の少年・シュウジが背負った余りに苛烈な運命。今秋、映画公開が決定した、直木賞作家、畢生の衝撃作、待望の文庫化!

内容(「BOOK」データベースより)
広大な干拓地と水平線が広がる町に暮す中学生のシュウジは、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄の四人家族だった。教会に顔を出しながら陸上に励むシュウジ。が、町に一大リゾートの開発計画が持ち上がり、優秀だったはずの兄が犯したある犯罪をきっかけに、シュウジ一家はたちまち苦難の道へと追い込まれる…。十五歳の少年が背負った苛烈な運命を描いて、各紙誌で絶賛された、奇跡の衝撃作、堂々の文庫化。

2008年11月8日土曜日

柔らかな頬 ~ 桐野 夏生

いかにも桐野先生の作品。
そして直木賞をとるだろうなーという作風。
文学作品を、それも飛び切り重厚なものを読んだ感じ。

下のあらすじだけだと、なんのことかさっぱり分からないけど
用は、重くて切なくて、つらい、そんな文学作品です。

直木賞をとった作品ってどんなものなの?
と思った人は読んでみて。


出版社/著者からの内容紹介
私は子供を捨ててもいいと思ったことがある。
5歳の娘が失踪した。夫も愛人も私を救えない。
絶望すら求める地獄をどう生き抜くか。

「現代の神隠し」と言われた謎の別荘地幼児失踪事件。
姦通。
誰にも言えない罪が初めにあった。娘の失踪は母親への罰なのか。4年後、ガン宣告を受けた元刑事が再捜査を申し出る。
34歳、余命半年。死ぬまでに、男の想像力は真実に到達できるか
直木賞受賞。(石飛徳樹

2008年11月7日金曜日

借金取りの王子 ~ 垣根 涼介

リストラ請負人シリーズ第2弾。

職業によっていろんなパターンや、説得の仕方があって面白い。
会社人には友だちや自分に重ねて読むこともできるからいいかも。




出版社 / 著者からの内容紹介
村上真介はリストラを請負う会社に勤めるサラリーマン。昨日はデパート、今日はサラ金、明日は生保に乗り込んで、泣かれたり、殴られたり。相性バッチリの恋人陽子は恐ろしく気の強い女で、すんなり結婚とはいかないし、真介の前には難題山積み。だけど明日は来る――。他人事でないリストラ話に思わず涙。働く人必読の面白小説!

2008年11月5日水曜日

どこにでもある場所とどこにもいない私 ~ 村上 龍

つくづく村上龍は天才なんだと思う。皮肉で。

こんなに読む人のことを考えないで、自分の感情のまま書きなぐり
それが好きな人が何十万人もいるなんて。

正直、村上ファン以外には絶対お勧めしない作品。
村上作品は、両極に分かれる。

読者のことを考えまくり、売れること、読まれることを前提に書く作品と
デビュー作のように才能だけで各作品と。

個人的には前者をものすごく評価しているので、今回もそれだと信じて
借りたけど、、、大はずれだった。



内容(「MARC」データベースより)
空港ロビー、居酒屋、コンビニ、公園、駅の自動改札…。日常の一瞬に、ふと去来する心の揺らぎ、意識の流れを描く、8篇の本格短篇を収録する。

2008年11月3日月曜日

家族の言い訳 ~ 森 浩美

いやあ、、森先生はすごい。
(この作品は処女作なのですが、以前に、この次の作品を紹介しました)

作詞をすごいと思ったことはないけど、この作品は
読者を「こうしよう」という意図が透けて見えつつも
その意図通りに感動してしまう悲しさ。

短編なので、どれかは絶対泣きがでる、そんな作品群。
電車の中では読まないように。

↓↓

出版社 / 著者からの内容紹介
親子、夫婦、恋人、その組み合わせの数だけ存在する愛情の形。それまでの人生で、何らかのわだかまりを持つ人々が、愛情を求めて不器用に生きる姿、それに伴って沸き起こる心の葛藤を現代社会の様々な舞台を使って描く。人気作詞家の処女短編集。

2008年11月2日日曜日

アキハバラ@DEEP 石田 衣良

映画の予告だけみておなかいっぱいだったので
小説には手をつけなかったのですが、なんとなく借りてみました。

ま、、こんなもんでしょ、ってネタ。
映画ありきで、小説を作った感がありあり。

石田先生の独特のリズムや展開の強引さなどが影を潜め
ゴーストが書いたのかってくらい書きなぐっています。

売れてくるとよくある小説の書き方という感で、
この本から石田作品に入ってしまうと非常にもったいないので
この本以外から、是非。



内容(「BOOK」データベースより)
社会からドロップアウトした5人のおたく青年と、コスプレ喫茶のアイドル。彼らが裏秋葉原で出会ったとき、インターネットに革命を起こすeビジネスが生まれた。そしてネットの覇権を握ろうとする悪の帝王に、おたくの誇りをかけた戦いを挑む!TVドラマ、映画の原作としても話題の長篇青春電脳小説。

2008年11月1日土曜日

狂宴の果て ~ 江上 剛

あまり金融らしさは感じない江上作品。

どちらかというと、小学生から青春系を中年の時代まで追っかけていく
という感じ。

途中で金融系の話にもなるが、バブルの時代のよくある話や
貸し倒れやら金融事故やら、本当に使い古したネタをぶん回し
ストーリーを組み立てている。

さすがにネタがなくなってきたのは、取材力もなくただただ、
思いつきまま書いている、という作品。

特によむ必要はないです。

2008年10月30日木曜日

司法占領 鈴木 仁志

やっばい、、。

完全に覚えていない。。。
読み捨てたのか、飽きたのか、借りてそのまま返してしまったのか。。

想像するに、つまらなくてやめた公算大。
という、どーでもいいカンソウでした。


出版社/著者からの内容紹介
正義感さえなくせば、弁護士はやれる……
全法曹、法学部関係者、ビジネスマン必読の問題作!

2004年ロースクール開校、司法試験大幅改変……
急速に進むアメリカ型司法改革。若き実力派弁護士が「法曹界侵略」「日本経済制圧」の恐怖を生々しく描いたリーガル・ノベル

米国巨大法律事務所の専横にたった1人で立ち向かった若き国際派弁護士の挫折と再生の物語

2008年10月25日土曜日

日暮れてこそ  江上 剛

江上先生のいつもの金融系とはまったく違う「老年の青春もの」

オトナや男性が読むのはいいけど、女性にはまったく面白みがないかも。

最後のほうは「あーこれならなんでもありだなあ・・」と思うけど
青春系、定年退職系と思って淡々と読めばそんなにがっかrしない。

電車の中で読み飛ばすのなら是非


2008年10月22日水曜日

瓦礫の矜持 五條 瑛

ちょっと人間関係の描写がうまくいってなく、すぐに関連性が分かりづらい。
ただ、それとは関係なく楽しむことはできる。

表題や帯で興味を引かれるとちょっと違うような気がするが、
なんの先入観もなく、警察系小説だと思えばいい。


内容(「BOOK」データベースより)
警察組織存続の名の下に犠牲になった三人の男の対決。選んだ道は欺瞞、糾弾、そして復讐。組織に殉じるとは、正義とは何かを問う著者渾身の書き下ろし大型問題作。


2008年10月20日月曜日

きみの友だち 重松 清

短編連作、いつもどおりの泣き泣き泣きの作品。

どすんと泣くわけじゃなく、ほろっとさせる作品ばかり。
ある一人の女の子が舞台回しで、その子にまつわる少年少女が
さりげなく絡み合う。

年代や主人公の年齢も特にどんどん大きくなるわけじゃく
たまに飛び越えたり戻ったりする。

友だち、ってのがミソで、決して説教くさい展開でもなく
押し付けがましくなく、ほんとにさらっとほろっとする作品群。

相変わらず重松先生はすごい。



出版社/著者からの内容紹介
嬉しいこと、つらいことがいっぱいあったから、「友だち」の意味がわかった――痛みや喪失を乗りこえ、少女たち、少年たちはやがて…。珠玉の長編小説!

内容(「MARC」データベースより)
友だち? 他人だよ、そんなの。でも特別な他人、大切な他人。嬉しいこと、つらいことがいっぱいあったから「友だち」の意味がわかった-。痛みや喪失を乗りこえ、少女たち、少年たちはやがて…。『小説新潮』掲載に加筆。


2008年10月18日土曜日

I’m sorry,mama. 桐野 夏生

桐野さんらしく、「救いのない社会派小説」

アンパイだけど、楽しい作品じゃーない。
まあ、そんなに重すぎはないけど、すっきりしたい人は絶対よんじゃだめ。

なんでもいいから、深く読みたい、という人は当然OK
読み応えはあり。
さらに、一気にグイグイいく、いつもどおりの桐野作品。

出版社 / 著者からの内容紹介
人はどこまで邪悪になれるのか。
児童福祉施設の保育士だった美佐江が、自宅アパートで25歳年下の夫と共に焼死した。事件の背景に盗み、殺人、逃亡を繰り返す女、アイ子の姿が見える時、更なる事件が引き起こされる。

内容(「BOOK」データベースより)
私は、女の顔をした悪魔を一人知っているのです。その女のしたことを考えるだけで、ぞっとします。彼女の本当の名前が何というのか、今現在、何という名前を名乗っているのかは知りませんけど、もちろん彼女はまだ生存していて、人を騙し続けています。そして、へいぜんと人を殺し続けています。かつて女であった怪物たちへ、そして、これから怪物になる女たちへ捧ぐ、衝撃の問題作。

2008年10月16日木曜日

絆 江上 剛

幼馴染二人と同級生の女の子の子ども時代から中年時代まで追っかける
経済小説+恋愛小説+文芸小説。。。

いろんな意味で読み応えがある。


幼馴染がオトナになって、バブル時代の銀行マンと中小企業の社員となって
再び出会うあたりから江上さんの本領発揮。

誰でもさっくり楽しめる作品になっていると思う。


2008年10月15日水曜日

リカ  五十嵐 貴久

もう、怖い怖い怖い、って感じ。
どこまでも続くストーキング。
最後まで読めない展開。
そして、、、


オチはナイショ。

ホラー好きなら読んで損なし。でも怖がりは絶対ダメ。




出版社/著者からの内容紹介
平凡な会社員がネットで出会ったリカは恐るべき怪物だった。長い黒髪を振り乱し、エスカレートするリカの狂気から、もう、逃れることはできないのか? 第2回ホラーサスペンス大賞受賞作。

内容(「BOOK」データベースより)
妻子を愛する42歳の平凡な会社員、本間は、出来心で始めた「出会い系」で「リカ」と名乗る女性と知り合う。しかし彼女は、恐るべき“怪物”だった。長い黒髪を振り乱し、常軌を逸した手段でストーキングをするリカ。その狂気に追いつめられた本間は、意を決し怪物と対決する。単行本未発表の衝撃のエピローグがついた完全版。第2回ホラーサスペンス大賞受賞。


2008年10月11日土曜日

ディレクターズカット  秋庭 俊

小説というよりも、テレビ番組の作り方として読むと面白い。
話は、、、まあ、退屈しない程度なんだけど、視聴率が取れる
番組の傾向や、パターンなどいい得て妙な感じ。

特に帯びや表紙などに書いてあるキャッチが一番面白いかも。


出版社/著者からの内容紹介
大型新人登場!元民放プロデューサーが書いた、魂を切り裂く傑作エンタテインメント小説。
視聴者は誰も知らない、テレビ報道の過激な内幕!

連続トランク詰め殺人事件発生。惨殺されたコロンビア女性は、第一テレビ特別番組「新宿警察24時」の取材協力者だった。不穏な空気の新宿百人町で、ビデオジャーナリスト北森京一の絶望と復讐が始まる。

日本人はいまもテレビ中毒です。毎晩、日本中のテレビが点きっ放しです。夜7時も8時も9時も、各局の視聴率の合計は70パーセント。20年前から全く変わらない。それどころか年々生活が夜型になって、最近は10時も11時も70パーセントです。このところ、制作費が削られて番組の質は低下してますけど、数字は落ちない。各局の失敗作がずらりと並んだ時間帯でも70パーセントをキープする。つまり、日本人は寝るまでテレビ消せないんです。日本人にテレビは麻薬なんです。


2008年10月2日木曜日

ラスト ワン マイル 楡 周平

楡作品が好きな人には鉄板の一冊。

分厚く、ぎっちり、男のストーリー。

経済小説と出世物語、ビジネスたたき上げ系が好きな人にはたまらないが、
IT業界にいた人にはちとつらいかも。

なぜかといえば、オチと展開があまりにもIT軽視だから。
まずこんな展開は無理だろう、というビジネスが・・・・眉唾。

そこは無視して、という人はどうぞ。
↓↓↓
内容(「BOOK」データベースより)
俺たちの仕事をクリック一つで奪うなんて、絶対に許さない!民営化された郵政にコンビニでの宅配便扱いを奪われた暁星運輸の営業課長・横沢。新規契約獲得に奔走するさなか、ネット市場を席巻するIT企業「蚤の市」から要求されたのは、あり得ない額の値引きだった。創業時からの取引先を容赦なく切り捨てるは自らの進退を賭けた「戦争」を仕掛ける。勝つのはどっちだ?!明日の日本を予見する経済小説。

内容(「MARC」データベースより)
俺たちの仕事をクリックひとつで奪うなんて、絶対に許さない! 民営化された郵政にコンビニでの宅配便扱いを奪われた運送会社とIT企業の熾烈な戦いが幕を開ける。勝つのはどっちだ!? スリリングな経済小説。


2008年10月1日水曜日

こちらの事情 森 浩美

これがまた、森先生鉄板の短編集。
自宅でじっくり読んだら泣きそうなものばかり。

森作品で感動したことのある人は読んでも損ナシ。
↓↓↓

出版社/著者からの内容紹介
母を介護施設に送り出さなければならない苦悩の息子に、母が言う。「人の手は二つしかない。大事なものができれば、先に持っていたものは手放さなくちゃ」(荷物の順番)。前作「家族の言い訳」で熟年世代に涙を伝わせた著者が放つ、期待の短編集。

2008年9月30日火曜日

偽装管理職

小説じゃないです。労働組合の事例集です。
某居酒屋や、某外食系の裏事情や裁判の負けっぷりが知りたい人に。

実際、この手の話を知っていて、逆にうんざり、という人はあえて読まなく
ていいです。
新しい発見は特になし。。。


再生巨流 楡 周平

これもまた楡作品鉄板の一冊。

中年サラリーマンの悲哀というか、怖さというか。。

新規プロジェクトを成功させても、見ている人は見ているんだなーという
両面でちと考えさせられるシーンが多い。

この話は文具系の宅配と、街の電気屋さんの組み合わせが
メインどころなんだけど、そこからはまた無理くり感が否めない。。
ただ、プロジェクトの進め方や提案書の出し方など現場っぽいニオイがでまくり。

↓↓↓

内容(「BOOK」データベースより)
脳みそに錐を刺して、血が噴き出るまで考えろ!それが俺たちの仕事だ!全てを捨てて打ち込んできた仕事から左遷された男たちは、画期的物流システム構築に自らの企業人生を賭けた!差し迫った巨額の決済、保身に走る上司、君臨するカリスマ社主…。業界一位の巨大運輸企業を舞台に、男たちの熱いドラマが弾ける!実現可能!前代未聞!画期的なビジネスモデルを織り込んだ、話題騒然の経済小説。

内容(「MARC」データベースより)
全てを捨てて打ち込んできた仕事から左遷された男たちは、画期的物流システム構築に自らの企業人生を賭けた。巨大運輸企業を舞台に描く、男たちの熱いドラマ。『週刊新潮』連載「再生頭脳」を、加筆・修正のうえ改題。

2008年9月29日月曜日

有頂天家族  森見 登美彦

主人公が狸。
この時点で嫌がる人は多いと思う。

自分もそれをよーーく理解していたら読まなかった。ほとんど狸たち
動物の話。
もちろん、擬人化しているので、それなりに読めるけど、無理くり感は
否めない。

途中つらくなった一冊。
↓↓↓


内容紹介
第20回山本周五郎賞受賞第一作!著者が「今まで一番書きたかった作品」と語る渾身の作。偉大なる父の死、海よりも深い母の愛情、おちぶれた四兄弟……でも主人公は狸?!

時は現代。下鴨神社糺ノ森には平安時代から続く狸の一族が暮らしていた。今は亡き父の威光消えゆくなか、下鴨四兄弟はある時は「腐れ大学生」、ある時は「虎」にと様々に化け、京都の街を縦横無尽に駆けめぐり、一族の誇りを保とうとしている。敵対する夷川家、半人間・半天狗の「弁天」、すっかり落ちぶれて出町柳に逼塞している天狗「赤玉先生」――。多様なキャラクターたちも魅力の、奇想天外そして時に切ない壮大な青春ファンタジー。

2008年9月24日水曜日

みなさん、さようなら 久保寺 健彦

日常を描いた作品、かと思いきや、何気に背景は暗い。
一人の中学生が大人になっていく話し、と書いてしまえばそれまでだが
年月の積み重ね方や、絡まるエピソードは見事。

徐々にいろんなことが明らかになっていって、最後はいったい、、、
というなぞときめいたエッセンスもある。

少年から大人になるまでの心のひだを描いた、名作。

↓↓↓


出版社 / 著者からの内容紹介
選考委員満場一致
第1回パピルス新人賞受賞作!

「力のある第1回受賞作」
石田衣良

「作者の力わざに感嘆した。すごい」
あさのあつこ

小学校の卒業式で起きた同級生の刺殺事件をきっかけに、団地という狭
い住処から外に出られなくなった少年・渡会悟。悟は団地で友達を作
り、恋をし、働き、団地の中だけで一生を過ごす決意する。だが月日が
経つにつれ一人また一人と同級生は減っていき、最愛の恋人すらも彼の
前を去ろうとしていた――。限られた狭い住処で生きようとした少年
が、孤独と葛藤を引き受けながらも伸びやかに成長する姿を描く、極上
のエンターテインメントであり感動の物語!

著者について
久保寺健彦
1969年東京都生まれ。立教大学法学部卒業。早稲田大学大学院日本文学研究科修士課程中退。進学塾に勤務する傍ら小説を執筆。2007年「すべての若き野郎ども」で第1回ドラマ原作大賞選考委員特別賞を、「みなさん、さようなら」で第1回パピルス新人賞を、「ブラック・ジャック・キッド」で第19回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞をそれぞれ受賞。本書がデビュー作となる。

2008年9月22日月曜日

収穫祭 西澤 保彦

あっという間に読めることは読めるけど、、、読む人を選ぶ小説。

えぐい系が苦手な人は絶対ダメだし、女性にもあまりお勧めできない。

村で起きた皆殺し事件から物語がスタートして、最後は20年後くらいまで進む。

中学生が皆殺し事件の当事者であり、関係者でもあり、傍観者でもあるこの話。
年月を重ね、いくつもの殺人事件が重なりあい、ストーリーが幾重にもなる。

サスペンス好きには是非どうぞ。

2008年9月20日土曜日

渥美清の肘突き―人生ほど素敵なショーはない 福田 陽一郎

ほとんど渥美清の話が出てこない、タイトル負けのエンタメ界エッセイ。

有名なディレクターの人がテレビ創世記からの話をつらつらと
書いている。

タイトルを気にしないで、テレビ界の仕事の仕方などを知りたい人にどうぞ。

2008年9月6日土曜日

君の夢はもう見ない  五條 瑛

引退した情報屋の短編連作。
状況といい、主人公の魅力といい、どれも面白く深みがある。
よくあるスパイものや中国ものじゃないので、人間系の小説として読むといいかも。


内容(「MARC」データベースより)
冷戦終結とともに「情報通」達は燃え尽きてしまったのか。米国防省の情報機関「会社」のメールマンを勤める仲上。2年ぶりに「中国通」からの手紙が届くが…。中国をめぐる情報戦の舞台裏を描く連作。『小説すばる』掲載。



2008年9月5日金曜日

椿山課長の七日間  浅田 次郎

西田敏行の映画で知って、最近図書館で見つけたから読んでみた。
設定が破天荒というかむちゃくちゃなので、あまり親近感は沸かず
本当にマンガチックに読む話。

映画にはしやすいと思うけど、ちょっとだけ強引で、泣きを強調している感もあり
いまひとつ感情移入できない。
軽く浅田作品を読みで見たい人向き。


Amazon.co.jp
激務がたたり脳溢血で突然死したデパートの中年課長が、たった7日間の期限つきで現世に舞い戻ってくる。ただしみずからの正体を明かすことは許されず、39歳の独身美女の姿を借りているため、行く先々で珍騒動が巻き起こる。家族に、仕事に、やり残したことをやり遂げ、主人公は無事成仏できるのか。行動をともにするやくざの組長と小学生のストーリーをからめつつ描かれる、ハートウォーミングな「死者の自分探し」の物語である。
もともと新聞連載小説だけに、随所に泣き笑いのつぼが設定されており、著者独特の歯切れのいい文体ともあいまってたちまち引き込まれる。脇役の一人ひとりまで丁寧にキャラクター設定された「優しい人」「いい人」たちによるファンタジーは、まさに浅田節の真骨頂だ。おまけに中年の純情恋愛までが織り込まれ、山あり谷ありで読者を飽きさせない。やや意外なラストシーンはほろ苦くも温かい味わいを残す。

美しい女性の肢体をわがものにした主人公の行動のおかしみ、間抜けな死に方をしたやくざのべらんめえ口調の説教節など、著者ならではのディテール描写、懐かしくも美しい日本語の世界などは、本筋をはなれても楽しめる。死をめぐり、家族間、世代間で感想を述べ合うきっかけとしても好適のエンターテイメントといえよう。(松田尚之)



2008年8月31日日曜日

毒 poison  深谷 忠記

いろんな話が入り組んで、何が毒で、何が悪か分からなくなる。
でも筋は一環していて、間違ってない。

丁重な説明と、思わぬストーリー展開であっという間に読んでしまう。
ミステリーを純粋に読みたいと思うなら、これで問題なし。



出版社/著者からの内容紹介
ある朝、少年は父を殺そうと思った。母に罵詈雑言を浴びせ、暴力をふるう父に対し、少年は恐怖を覚えていた。
そんな少年が父を殺そうと決意したのは「あの言葉」を聞いたからだった。書下し長篇。

2008年8月23日土曜日

真夏の島に咲く花は  垣根 涼介

まず、フィージーが舞台の話なので、それすら嫌な人は正直向かない。
自分も認知度や親近感からか、日本が舞台の作品以外はあまり読まなかった。

これも、フィージーが好きな人でないとちとつらいかも。
ただ、展開や文体は悪くなく、フィージーのことを知らなくても
なんとか付いていくことはできる。

しかし、海外が舞台の青春ものって、、、どうしても楽しめないなあ、、。


内容(「BOOK」データベースより)
この島には、今までの人生で知らなかったものが、絶対にある―。2000年のフィジークーデターで人種の違う四人の若者は、何を見つけたのか。日本から両親と移住してきた良昭、ガソリンスタンドで働くフィジアン・チョネ、父のお土産物屋を手伝うインド人・サティー、ワーキング・ビザでフィジーに来た茜。「地上の楽園」を探し始めた男女の青春群像。

2008年8月21日木曜日

昭和出版残侠伝  嵐山 光三郎

出版業界の内幕や編集者とはナンだろうという人への入門書めいたもの。
特に本つくりの面白さや流れなどが分かりやすく書いてあり、かつ実話なので
臨場感もある。

ただ、残念なことに嵐山さんの文体がいまいち。。
本人の癖なのかわざとなのか、キャラクター設定が強すぎるので
本当に知りたいことがダイレクトに伝わってこない。

業界好きなら何とか読めるが、そうでもない人は別の本でもいいかも。


内容(「BOOK」データベースより)
80年代はじめ。出版が躍動していた時代!写真週刊誌、男性誌など雑誌創刊ラッシュ前夜、老舗出版社を退職し、出版社を起こした著者と仲間たち。出版界躍動の時代を描く、疾風怒涛悪戦苦闘の嵐山版・出版風雲実録。

2008年8月20日水曜日

一瞬でいい  唯川 恵

まあ、これがよくある人生丸抱えの作品展開なんだけど、どーしても
先が気になってぐいぐい見てしまう。

流れもオチも予想りかもだけど、それ以上にリズムや細かいエピソードが
いい感じ。

唯川先生の作品が好きな人には文句なく、それ以外でもラブストーリーを深く
かつ、宗教くさく説教くさい形が嫌いな人には是非。


内容紹介
1973年11月、浅間山での出来事が18歳の二人の少女と一人の少年の運命を変えた。
事故の重みを胸に秘め、大人へと成長してゆく三人。
著者が自らと同年生まれに設定した主人公たちの18歳から49歳までの人生の軌跡を描く、
すべての世代に贈る31年間のラブ・ストーリー。


2008年8月19日火曜日

風に舞いあがるビニールシート   森 絵都

表題とはおよそかけ離れたえらいまじめで且つ恋愛もの。
ボランティアの人たちの話が表題のネタだけど、それ以外も
結構深い。

恋愛が多く、かつ人生考える系なので好き嫌いはあるかも
だけど、短編なのでどれか一つは気に入ると思う。

ちょっぴりさくっと泣きたいときにはお勧めかも。



内容(「MARC」データベースより)
国連で難民事業に携わる里佳は、上司で元夫のエドがアフガンで死んだという知らせを受ける。そして、エドがアフガンで助けた少女のことを伝え聞き-。大切な何かのために懸命に生きる人たちの、6つの物語。


2008年8月17日日曜日

後継者 安土 敏

こんなにうまくいくもんかぁ、と思いつつも、スーパー業界の内幕を
知る本としては面白かった。

このモデルとなった企業を知りたいと思いつつ、調べられなかったので
そこが残念。
全て実話っぽいので、ビジネス系が好きな人にはたまらない一冊。


内容紹介
ゴルフ三昧でスーパーマーケットの経営なんて全く分からない二代目が、オヤジの突然の死に直面する。提携話が進んでいた大手スーパーは、実は乗っ取りを画策しており、オヤジの死はそれに関係しているらいし事をしる。幹部たちに励まされ美人流通経済学者に指導を受け、ゴルフに擬えて経営を学ぶ二代目。新方式導入で大手と勝負する、後継者の成長物語。

2008年8月10日日曜日

だれが「本」を殺すのか 佐野 眞一

有名な本だけど今更読みました。
書かれた時代は2000年なのでちょっと古さは感じるけど
本屋の実情や地方の新しい取り組み、編集者たちの努力や伝説
めいたところは臨場感があり面白い。

ネットの話も出てくるが、少し的外れで現状分析で終わっているのが残念。


内容(「BOOK」データベースより)
活字離れ、少子化、出版界の制度疲労、そしてデジタル化の波―いま、グーテンベルク以来の巨大な地殻変動。未曾有の危機に、「本」が悲鳴を上げている!!この「事件」を、豪腕「大宅賞」作家が取材・執筆に丸2年1千枚に刻み込んだ渾身のノンフィクション。

2008年8月8日金曜日

ROMES06  五條 瑛

空港テロの話。
と書いてしまうと面白さがまったく伝わらない。
空港テロ自体はたいしたことはなく、どちらかというと、その動機の部分だったり
それを防御するシステムのほうに話の主眼が置かれている。

展開も面白く、主役の成嶋が魅力的でシリーズになるんじゃないか的な役回りをしている。


内容(「BOOK」データベースより)
世界最先端の施設警備システムROMESに守られた海の要塞、西日本国際空港。だが、ROMESの全貌を知る者は、西空警備チームでもただひとりだけ。成嶋優弥。ROMESの最高運用責任者。鋭い知性と飄々とした言動で他人をケムに巻く、常識はずれの天才が信じるのは、愛犬ハルと、自らが運用するシステムのみ。ある日、西空に複数のテロの予告状が届く。そしてROMESの警告装置が作動した!?成嶋とテロリストたちの、知と情を賭けた白熱の攻防が始まる。

2008年8月6日水曜日

この指とまれ -GONBEN-  小川 勝己

短編だけど、長編でもそれぞれ楽しめたであろう作品。
詐欺がテーマだけど、最後までオチが読めない。

読者に詐欺を仕掛けているような作品。
最後の最後でまたもや読めないオチがあるので、、いきなり最後の短編は読まないように。。




内容紹介
美貌の女子大生・椙浦夏子は、稼いだバイト代全てを貢いだ恋人を、社長令嬢・日ノ原麗華に奪われた。「お金持ちになって、あのふたりを見返してやる!」と誓う夏子は、大学の同級生で体育会スキー部に所属する鹿沼歩、父親が会社で不正を働いて逮捕されたスキー部の後輩・吉田博貴、夏子がバイト先のキャバクラで知り合った長谷川夏樹らを仲間に加え、詐欺グループを結成する。学生サークルのノリでカモを騙す計画を練る彼女たち。数多のビジネスの成功に味をしめ、より大物をターゲットに定めるうちに、いつしかヤクザや警察を敵にまわすことになって……。最凶の知能犯たちが罠を仕掛け合う、ノンストップの札束争奪戦を迫力満点で描いた、鬼才の傑作青春クライムサスペンス!


2008年8月4日月曜日

夕陽はかえる  霞 流一

書評が高かったので読んでみたけど、、、まあよくマンガチックな話。
登場人物に個性があるので、読んでいて飽きないけど好き嫌いは分かれる。

サクサクと単純に、それこそマンガチックに小説を読みたい人には大丈夫かも




内容紹介
こんなミステリを待っていた!

不可能犯罪(ロックトルーム)×非情活劇(タランティーノ)×謀略(エスピオナージュ)

殺し屋が繰り広げる殺し合いの修羅場で殺人事件。
殺し屋の探偵が、殺し屋殺しの謎を巡り、殺し屋の容疑者を追及!

任侠推理か、マカロニ本格、それともパズル・ノワール?!

プロの暗殺組織〈影ジェンシー〉で実務を手掛ける〈影ジェント〉の一人、〈カエル〉が不可能状況で殺された。明らかに同業者の手口。同僚の瀬見塚は、〈カエル〉の遺族の依頼で真相を追う。だが、〈カエル〉の後釜を狙う〈影ジェント〉たちが瀬見塚に刃を向け、彼らの怪奇を尽くした決闘の応酬は〈東京戦争〉と呼ばれるほどに発展していく。殺し屋による殺し屋殺しと推理の行方は? 背徳のSin本格誕生!

2008年8月3日日曜日

青い鳥  重松 清

さすが、重松作品。
期待どおりの感動ストーリーを届けてくれます。

短編集で、一人の吃音の先生が軸となり、問題児と呼ばれる
生徒たちへ、不器用に、でも心の中にしっかりと言葉を届けていく。

簡単な先生モノでもないし、そう簡単に人は立ち直らないけど
それでもいい感じで光を残してくれます。

中でも昔教わっていた生徒が偶然再会する話は必読。
泣けます。

PS
先生は「大切なこと」だけ教えてくれます。


2008年8月2日土曜日

魔性 渡辺 容子

設定はありがちだち、展開も普通。オチも強引。。
よくある話すぎて、途中で眠くなったけど、一応推理ものなんで
強引にオチだけ読みました。

読む価値なし。借りる必要なし。覚える必要あり、です。

内容(「BOOK」データベースより)
鈴木珠世二十九歳、独身、元OL。引きこもりの彼女は、仲間と贔屓のプロサッカーチームを応援するときだけ、生きている実感を味わえるのだ。ところが、試合当日、仲間のひとり、高校生のありさが何者かに殺された。殺人者は仲間の中に!?犯人捜しに乗りだした珠世を待ち受ける運命は…。実力派が五年ぶりに世に問う問題作!人間関係の裏に隠された現代社会の病巣。


2008年8月1日金曜日

リミックス 藤田 宜永

まあ、、たまにはいいかなーくらいの恋愛冒険もの。
途中から彼女探しになるんだけど、彼女の秘められた出来事なども判明しつつ
いろんな過去が暴かれていく、、みたいな話なんだけど、正直たいくつ。

オチも「あ、そっそ」程度なので、作者のファンがなんとなく読む程度かと思われ。



内容(「BOOK」データベースより)
藤巻友也(41)、かつては人気の「DJアミーゴ」、今は便利屋で働く身。冬実(21)、ラッパー志望の、とにかく気ままな女の子。追いつ追われつ。ふたりの“純愛鬼ごっこ”のたどる結末は!?がんばれ!優しいダメ男、この愛だけは見失うな!!直木賞受賞から5年、純度100%・究極の“恋のかくれんぼ”。



2008年7月30日水曜日

でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相  福田 ますみ

いま、ドラマで「モンスターペアレント」が放送されているが
そのレベルを超えたすさまじい真実の事件。

ここまですごいでっち上げがあるのかと思うくらいに、想像の
レベルを遥かに超えています。

おそらく、一気読みになると思うけど、それほどまでに興味深い話。
そして筆力も展開もいいので、読みモノとしてもベスト。



出版社/著者からの内容紹介
第6回「新潮ドキュメント賞」受賞!
クレーマー保護者の虚言によって、
彼は史上最悪のいじめ教師に仕立てられた。
「早く死ね、自分で死ね!」
2003年6月、全国ではじめて「教師によるいじめ」と認定される
事件が福岡で起こった。問題の小学校教師は、担当児童を自殺
強要や暴力でPTSDによる長期入院に追い込んだとされ、
「殺人教師」とまで報じられた。
だが後に、一連の事実は、児童両親によるでっちあげだった
ことが明らかになる──。
子供は善、教師は悪という単純な二元論的思考に陥り、
550人もの大弁護団を結成した人権派弁護士、保護者
の無理難題を拒否できない学校現場や教育委員会、すぐ
に騒いで教師を悪者にするマスコミ、被害者を救うヒロ
イズムに酔う精神科医、そしてモンスター・ペアレント......。

病める教育現場で偽善者たちが引き起こした、驚愕の冤罪劇!


2008年7月29日火曜日

砲台島  三咲 光郎

戦時中の殺人事件を、19歳の少年警察官と公安幹部が追いかけていく話。
戦争系が好きな人はなんとか読めるかもだけど、あたしは途中でギブアップ。

久しぶりに最後のページだけ読みました。

ま、その程度の読み込みです。
ただ、、、雑誌のレビューでは評価が高いので、好き嫌いかも。


2008年7月19日土曜日

あふれた愛 天童 荒太

正直、ちょっと読むのがつらくなる話。

悲劇とかグロとかではなく、精神的な病を抱えた人の短編集なので
その思いや背景を解説されると、ちょっと引く。

あえてこの本を読まなくても天童先生の作品にはいいものがいっぱい
あるので、それら全てを読み終えてから、どーしても読みたくなったら
読もう、、、。


内容(「BOOK」データベースより)
ささやかでありふれた日々の中で、たとえどんなに愛し合っていても、人は知らずにすれ違い、お互いを追いつめ、傷つけてしまうものなのか…。夫婦、親子、恋人たち。純粋であるがゆえにさまざまな苦しみを抱え、居場所を見失って、うまく生きていくことができない―そんな人々の魂に訪れる淡い希望を、やさしくつつみこむように描く四つの物語。天童荒太の本質がつまった珠玉の作品集。



2008年7月17日木曜日

グロテスク 桐野 夏生

実際にあった事件をモチーフに、一人称で語られる小説。
グロテスクというタイトルは最後の最後にチラッと触れる程度で
内容自体はまったくグロテスクじゃない。

筆力はいつもどおりすばらしく、好き嫌いが分かられるが、口語体の独白展開が
自分はいやいやながらもグイグイ引き込まれて、一気読みの状態だった。

非常に長く、上下巻に分かれて販売するほど。
ただ、読んでいくうちに長さを忘れて次々と知りたくなるのが桐野先生の怖いところ。
他のレビューも総じて評価が高く、食わず嫌いだが読んだら分かる、そんな本の典型的パターン。



【本書の内容】
世にも美しい妹ユリコを持つ「わたし」は、ユリコと離れたい一心でQ女子高を受験して合格し、スイスに住む両親と離れて祖父とふたり暮らしを始める。エスカレーター式の名門Q女子高は厳然とした階級社会であった。佐藤和恵という同級生が美人しか入れないという噂のチアガール部に入ろうとして果たせず、苛立つのを、「わたし」は冷やかに見守る。
夏休み前に母が自殺したという国際電話が入る。ユリコが帰国するというので、「わたし」は愕然とする。同じQ女子高の中等部に編入したユリコは、その美貌でたちまち評判になるが、生物教師の息子木島と組んで学内で売春し、それがばれて退学になる。和恵はQ大学から大手のG建設に就職した。―そして二十年後、ユリコと和恵は渋谷の最下層の街娼として殺される。


2008年7月16日水曜日

マガジンハウスを創った男岩堀喜之助  新井 恵美子

マガジンハウスの前身である平凡社を作った人の伝記。
平凡社のすごさが分からない人にはまったく興味がわかず、
展開も盛り上げに欠けいまひとつ。。

マガジンハウスが一番盛り上がってきた時代にはほとんど触れない
ので、40代後半や50代の人向けの時代小説のよう。


2008年7月15日火曜日

ブラック・ジャック・キッド 久保寺 健彦

前評判や受賞など期待は高かったけど、まあまあレベルの青春もの。。

タイトルやテーマは読ませる気にさせるけど、内容がついていってないので
期待はずれ感は大きい。

ただ、読んで損したとまでは行かないので、時間つぶしに小学生時代を振り返る
青春ものが読みたい人にはいいかも。

出版社 / 著者からの内容紹介
雪降る聖夜、奇蹟が起きる! 三冠制覇、青春小説の超新星!
ブラック・ジャックになりたいおれと、『ガラスの仮面』を教えてくれた内気な宮内君。そして、眼鏡を外すと超綺麗な泉さん。イブの晩、駅の向こう側の見知らぬ街に姿を消した泉さんの弟・健太を捜して、三人の大冒険が始まった――。ドラマ原作大賞選考委員特別賞、パピルス新人賞同時受賞に輝く、驚異の超大型新人登場!


2008年7月13日日曜日

告白 チャールズ・R・ジェンキンス

北朝鮮の内幕を知る意味では貴重な資料。
当時の生活レベルや、内情、また家族によっては北朝鮮や日本に
対するイメージが違うことがよく分かる。

特に姉妹で真逆の思想だったのはびっくり。

また、小泉政権についても本当に拒否していた時代もあった
ので、新聞や雑誌だけではいまひとつ分からない拉致問題
についてだいぶクリアになった。

ただ、内容はところどころ退屈なので、資料として読むしかない。


商品の説明
告白
拉致被害者・曽我ひとみさんの夫の半生記。米軍兵として駐留していた韓国から北朝鮮へ渡った理由、曽我さんとの出会い、北朝鮮からの出国などを記す。横田めぐみさんら、他の拉致被害者に関する貴重な証言も出てくる。
「特権的な暮らしを享受していたとさえ言える」著者だが、それでも、寒さと空腹と不衛生と戦う日々だった。兵士が物ごいに来たり、学校の備品が盗まれないよう、生徒が交代で見張りに立つなど、困窮した北朝鮮社会の実情を振り返る描写が生々しい。

今の望みは夫婦2人、佐渡で幸せな日々を送ること、娘たちが幸せで充実した人生を歩むことという。「選択の自由がある社会で暮らしていることをありがたく思う」との言葉に実感がこもっている。


(日経ビジネス 2005/12/05 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)



2008年7月12日土曜日

統治崩壊  江上 剛

ベテラン広報マンが企業の腐敗や派閥に立ち向かっていく、よくある企業もの。
江上さんお得意の金融系内幕暴露だが、そんなに新発見はない。


いろんなエッセンスが組み合わさって話としては面白いが、最後のオチや
内容の濃さは期待以上のものがない。


内容(「BOOK」データベースより)
いい人であることが規制業種の典型である銀行の中で出世する一番の能力だったのだ。ところが桧垣がトップになった時には、護送船団は崩れ、トップは生き残りをかけて自分の判断を求められるようになった。危機的時代!組織に埋没せず、個を貫く。銀行員生活26年に終止符を打った著者の最高傑作。

2008年7月10日木曜日

片眼の猿 One‐eyed monkeys 道尾 秀介

盗聴専門の探偵とが、企業スパイを探しつつ、男女ものが絡み合ったサスペンス。
作者の道尾さんは相変わらず複線の出し方がうまく、体の特徴を捉えた記述は特出もの。

サスペンスとしても最後までグイグイ引っ張っていくが、ちょっとだ薄い感はある。




俺:三梨幸一郎は盗聴専門の探偵事務所『ファントム』を経営している。あるときクライアントの谷口楽器企画部長:刈田からライバル会社黒井楽器のデザイン盗用の疑惑の調査の依頼が巨額な報酬とともに舞い込んできた。毎日の盗聴を続ける中,社員同士の会話から通勤電車内のとある女性の事を知ることになる・・・

2008年7月1日火曜日

パラレルワールド・ラブストーリー 東野 圭吾

実は10年以上前に読んで家にあった作品を再読しました。
(図書館が1週間お休みなのです)

ようはパラレルワールドのように二つのストーリーが章を重ねて展開していき
その中で、恋愛とミステリーが複雑に絡まっている、そんな作品なのですが
出来がものすごくいいです。

入り込んでしまい、再読にも関わらず一気見でした。

是非読んで下さい。
青春時代を思い出すもよし、ミステリーとして楽しむもよし、男女の淡い思いを
楽しむもよし、どんな角度でも満点です。



内容(「BOOK」データベースより)
親友の恋人を手に入れるために、俺はいったい何をしたのだろうか。「本当の過去」を取り戻すため、「記憶」と「真実」のはざまを辿る敦賀崇史。錯綜する世界の向こうに潜む闇、一つの疑問が、さらなる謎を生む。精緻な伏線、意表をつく展開、ついに解き明かされる驚愕の真実とは!?傑作長編ミステリー


2008年6月30日月曜日

後ろ傷 東 直己

これ、第2段らしいのですが、私はこの作品しか知りません。

でも結構楽しんで読めました。
リズム的にまだまだの面はありますが、展開は面白く、軽くさくっと楽しめます。
学生の懐かしい思い出に浸りたいときにいいかも。


内容(「BOOK」データベースより)
松井省吾は、北海道で最も「偏差値の低い」私立大学、道央学院国際グローバル大学(通称・グロ大)の1年生だ。北大受験に失敗し半ば自棄になって選択した結果だが、学校になじめず、また回りを「頭の悪いバカ」と見てしまう自分に激しい嫌悪を抱いている。―そんな最悪な日々を送る省吾はある日、グロ大の学生がヤクザにリンチされている現場に遭遇してしまう。交番に駆けこむが警官はとりあわず、それどころか、省吾自身が公務執行妨害と傷害の現行犯で逮捕されてしまう…。“ハーフボイルド”シリーズ第2弾。


2008年6月29日日曜日

歌舞伎町シノギの人々  家田 荘子

さすがというか、当然というか。
ものすごく読み応えがある作品です。

この手のものを書かせたら日本一の家田先生だけあって、いろんな「ナマ」の
エピソードがサクサク、それでいてどっしり読める作品です。

地方の人、東京に来たことがない人、は是非。
本当の歌舞伎町が分かります。


内容(「BOOK」データベースより)
お金なんか持って、この街に来ちゃダメだよ。ハイエナいっぱいいて潰されるんだから。極妻をしのぐ衝撃書き下ろしノンフィクション。

内容(「MARC」データベースより)
月収500万円のトップキャバクラ嬢、歌舞伎町バラバラ殺人犯のヤクザの妻、巨大マーケットを押さえる麻薬の総元締め…。日本一の歌舞伎町でシノいでいる人々の心と生きざまを描く、極妻をしのぐ衝撃ノンフィクション

2008年6月25日水曜日

シャイロックの子供たち  池井戸 潤

子供たちというから、一瞬青春ものかと思いきや、まったく違う。
銀行内の人間関係や、上下関係などの理不尽さを痛感する連作。
しかし、短編連作なんだけど、うっすらサスペンス的要素で繋がっていき
最後にちょっとしたオチがある。

短編連作といいつつ、長編でもある面白さです。

人間関係に悩んでいる人や、会社での上下関係に悩んでいる人が読んだら
「まだましかなあ、俺は」
と思うかも。

おそらくこの手のことが日本中である気がする、そんなエピソード満載です。


内容(「BOOK」データベースより)
たたき上げの副支店長、社内恋愛中のOL、お調子者の課長代理…出世のため、家族のために奮闘する行員たち。現金紛失事件をきっかけに不穏な空気がたちこめ、一人の男が失踪した。

2008年6月22日日曜日

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて  佐藤 優

話題の本だったのでつい借りてしまいました。
ノンフィクションなのですが、筆力がすごく、ついついのめりこんで
しまいました。

たまにくどくて眠くなる瞬間もありましたが、この手の本の中では
非常にリズムがいい作品です。

政治や外交がらみのノンフィクションが読みたい人は是非。


商品の説明
国家の罠
著者はロシア外交のプロとして鳴らした外交官であったが、2002年、いわゆる「鈴木宗男事件」で背任と偽計業務妨害の容疑により逮捕された。512日間に及ぶ拘置、独房生活の末、今年2月の第1審で下された判決は「懲役2年6カ月、執行猶予4年」。著者は即日控訴の手続きを取った。
本書は、著者の目が捉えた事件の内幕を赤裸々に綴った手記である。逮捕前夜に渦巻いていた外務省内部の権力闘争や自民党の内部抗争、さらには本件を「国策捜査」であると明言したという検事とのやり取りを、冷静に再現していく。また、政治家・鈴木宗男を著者は極めて高く評価している。バッシングにさらされた“腹黒い政治家”というイメージとは対極にあるような意外な人物像が浮かび上がってくる。



2008年6月21日土曜日

悪人 吉田 修一

タイトルのイメージとはまったく違う作品です。

ある殺人事件とあわせて、男女の葛藤が淡々と描かれていて
何が正なのかが分からなくなる、そして真の悪人とはなんなのかを
問いかける作品です。

文学作品と思って読むといいかもです。
エンタメ性やサスペンス性は薄いです


内容紹介
なぜ、もっと早くに出会わなかったのだろう――携帯サイトで知り合った女性を殺害した一人の男。再び彼は別の女性と共に逃避行に及ぶ。二人は互いの姿に何を見たのか? 残された家族や友人たちの思い、そして、揺れ動く二人の純愛劇。一つの事件の背景にある、様々な関係者たちの感情を静謐な筆致で描いた渾身の傑作長編。


2008年6月7日土曜日

許さざる者  笹本 稜平

自殺した兄が、実は自殺ではなく他殺かもしれない、という作品。

ちょろっと親子確執やら昔の母親の死のなぞやら、いろいろエピソードは出てくるけど
どれも中途半端。。

↓↓↓

2008年6月6日金曜日

シャドウ 道尾 秀介

途中で、「あ、ここでいやなシーンが出てくるかも。。」と思ってび
くびくしながら読んでいた。

そんなシュチュエーションが随時あるので、そういった描写が嫌いな人は
最初から読まないほうがいいかも。
あらすじにはまったくないことだったので、自分も分かっていれば
読まなかった。



謎解きも、ミスってリー度合いもいい深みがあるんだけど、、
、シュチュエーションがいただけない。。

↓↓↓


内容(「BOOK」データベースより)
人間は、死んだらどうなるの?―いなくなるのよ―いなくなって、どうなるの?―いなくなって、それだけなの―。その会話から三年後、鳳介の母はこの世を去った。父の洋一郎と二人だけの暮らしが始まって数日後、幼馴染みの亜紀の母親が自殺を遂げる。夫の職場である医科大学の研究棟の屋上から飛び降りたのだ。そして亜紀が交通事故に遭い、洋一郎までもが…。父とのささやかな幸せを願う小学五年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実とは?話題作『向日葵の咲かない夏』の俊英が新たに放つ巧緻な傑作。

内容(「MARC」データベースより)
母が亡くなり、父の洋一郎と2人だけの暮らしが始まった数日後、幼馴染の亜紀の母親が自殺した。そして亜紀が交通事故に遭い、洋一郎までもが…。父とのささやかな幸せを願う少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の事実とは…?

2008年6月5日木曜日

贄の夜会  香納 諒一

テーマが深いし、中には付いていけない描写もあるので、
女性にはあまりお勧めできないのだが、一瞬のいやな描
写を飛ばしても、問題なく作品には付いていけるので
それでも興味がある人は是非。

というのも、サスペンスとしてはよくできていて、
3名の軸となる登場人物がそれぞれ個性があり、エピソ
ードあり、とんがった人たちで何気に読み応えがある。

執筆に6年費やしたのは、本当かどうか微妙だけど、
ある程度練りこんだんだなーとは実感ができる。

推理とハードボイルドを兼ね備えた作品を探し
ているなら是非。
ただし、、、猟奇的な部分があるので、そういう
言葉を少しでも見つけたら、2Pは飛ばして読もう。
↓↓↓↓

内容(「BOOK」データベースより)
“犯罪被害者家族の集い”に参加したふたりの女性が殺された。ハープ奏者は両手首を切り落とされ、もうひとりは後頭部を石段に叩き付けられて―。刑事の大河内は被害者の夫の行動に疑問を覚えるが、なぜか公安部からストップがかかる。また、“集い”にパネラーとして出席した弁護士は、19年前に起きた少年猟奇事件の犯人だったことを知る。洗脳によって社会の暗闇に潜みつづける真犯人は…。猟奇的殺人鬼とプロの殺し屋がぶつかる時、警察組織の腐敗を目の当たりにした刑事も孤独な一匹狼として暴走を始めた。執筆に6年を費やし、かつてないスケールとスピードで展開する待望のサスペンス巨編。

内容(「MARC」データベースより)
「犯罪被害者家族の集い」に参加したふたりの女性が殺された。ハープ奏者は両手首を切り落とされ、もうひとりは後頭部を石段に叩き付けられて-。猟奇的殺人の裏に隠された様々な秘密が、いま新たな悲劇を次々に生み出す。


2008年6月3日火曜日

ドロップ  品川ヒロシ

品川庄司の品川が書いた作品。
そこそろ売れたのでタイトルは知っている人は多いと思う。

結構馬鹿にして、はなっから読まない人がいるとしたら、、
そういう人にこそ是非読んで欲しい。

読み終わった後、というか1章が終わる前には先入観がなくなり
先が読みたい、という欲しかなくなるだろう。

よくある青春もので、かつ軽いポップな作品だけど、流れも
展開も王道で面白い。

ある一定の評価を得た人は、小説もそこそここなすんだと思ったほど。

確かに、同じ路線の著名作家(万条目さんとか)に比べればまだまだの面もあり、
最初の10Pくらいはまだ作者自身もリズムがつかめなかったような気がする
文章だけど、すぐに慣れが出てきて、面白いだけになる。

続編が楽しみな作品だ。

↓↓↓↓

内容紹介
◎ 30万部突破のベストセラー、待望の映画化決定!!◎
2009年 新春ロードショー 配給:角川映画

青春はマンガだ。そして、ここには、ひとコマずつ、
切なさと甘酸っぱさが溢れている 一一一リリー・フランキー

僕が泣き虫なんじゃなくて
この本が素敵なんだと思います 一一一劇団ひとり

品川庄司の品川が、
80年代の不良少年たちをリアルに描いた青春小説!

東京・狛江を舞台に、退屈な中学生活に飽き足らず、
喧嘩と悪戯に明け暮れる日々。
一緒にいればどんなに殴られてもへっちゃらだった。
ときに切なく胸に迫る母親や姉とのやりとり。
90年代を代表する伝説的不良漫画『クローズ』の
著者・高橋ヒロシが表紙画を描き下ろした。

内容(「BOOK」データベースより)
お笑いコンビ・品川庄司の品川による青春小説。80年代東京・根性焼き・木刀・バット・鉄パイプ…不良になると決めたから、不良でいよう。



2008年6月2日月曜日

星新一 一〇〇一話をつくった人  最相 葉月

星新一の伝記というかルポタージュ。
超有名な作家でかつ誰もが一度は読んだことのある作品ばかりなので
ルポも結構生々しく臨場感がある。

特にSFの巨匠としての地位が「良し悪し」の面が多々あり、本人も
苦悩している様子がよく表現されている。

興味深いエピソード満載なので是非読んでみてください。
↓↓↓


2008年6月1日日曜日

最後の記憶 綾辻 行人

久しぶりに綾辻先生の作品を読んだ。
何気に半年ぶりか?

でも、、、気のせいかちょっとパワーダウン。。
ホラーテイストなのだけど、ホラーになりきれず、本格推理の王道ともちと違う。
最後の記憶に奥深いなぞが隠されているのかと最後まで期待感を持って読んだけど
「そのオチならなんでもありジャン」というか、まあ、、、いっかという感じ。
↓↓↓


内容(「BOOK」データベースより)
若年性の痴呆症を患い、ほとんどすべての記憶を失いつつある母・千鶴。彼女に残されたのは、幼い頃に経験したという「凄まじい恐怖」の記憶だけだった。バッタの飛ぶ音、突然の白い閃光、血飛沫と悲鳴、惨殺された大勢の子供たち…死に瀕した母を今もなお苦しめる「最後の記憶」の正体とは何なのか?本格ホラーの恐怖と本格ミステリの驚き―両者の妙なる融合を果たした、綾辻行人・七年ぶりの長編小説。

2008年5月29日木曜日

オーデュボンの祈り  伊坂 幸太郎

実はこのデビュー作はまだ読んでいませんでした。
ただ、伊坂先生作品の中で評判以上にいい作品。

これは時代を作るなあ、といった内容です。
好き嫌いはあるかもですが、会話のテンポといい、展開のリズムといい文句なし。

ただ、寓話的な展開なのでそこで気になる人は気になるかも。

相変わらずいくつモノエピソードが絡み合い、それぞれの登場人物や
シュツエーションがものすごく凝っていて、この一冊で実は10冊くらい
長編が書けるのでは、と思えるほどぎっしりです。

事実、この作品のある登場人物やシュツエーションは他の作品で
さりげなく使われたりします。

この「イマドキの若者の会話」+「ちょい不思議系な状況」をうまく作品を
展開していく手法で、一躍TOP作家の仲間入り。
「伊坂風」という作品がこの後続々と生まれた、と、実感できる作品です。

↓↓↓↓


Amazon.co.jp
既存のミステリーの枠にとらわれない大胆な発想で、読者を魅了する伊坂幸太郎のデビュー作。レイプという過酷な運命を背負う青年の姿を爽やかに描いた『重力ピエロ』や、特殊能力を持つ4人組の強盗団が活躍する『陽気なギャングが地球を回す』など、特異なキャラクターと奇想天外なストーリーを持ち味にしている著者であるが、その才能の原点ともいえるのが本書だ。事件の被害者は、なんと、人語を操るカカシなのである。
コンビニ強盗に失敗した伊藤は、警察に追われる途中で意識を失い、見知らぬ島で目を覚ます。仙台沖に浮かぶその島は150年もの間、外部との交流を持たない孤島だという。そこで人間たちに崇拝されているのは、言葉を話し、未来を予知するというカカシ「優午」だった。しかしある夜、何者かによって優午が「殺害」される。なぜカカシは、自分の死を予測できなかったのか。「オーデュボンの話を聞きなさい」という優午からの最後のメッセージを手掛かりに、伊藤は、その死の真相に迫っていく。

嘘つきの画家、体重300キロのウサギさん、島の規律として殺人を繰り返す男「桜」。不可思議な登場人物たちの住む島は、不条理に満ちた異様な世界だ。一方、そんな虚構に比するように、現実世界のまがまがしい存在感を放つのが、伊藤の行方を執拗に追う警察官、城山である。本書が、荒唐無稽な絵空事に陥らないのは、こうした虚構と現実とが絶妙なバランスを保持し、せめぎあっているからだ。本格ミステリーの仕掛けもふんだんに盛り込みながら、時に、善悪とは何かという命題をも忍ばせる著者の実力は、ミステリーの果てしない可能性を押し開くものである。(中島正敏) --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)
警察から逃げる途中で気を失った伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来鎖国を続けているその孤島では、喋るカカシが島の預言者として崇められていた。翌日、カカシが死体となって発見される。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止できなかったのか?ミステリーの新時代を告げる前代未聞の怪作。第五回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作。



2008年5月27日火曜日

検察捜査  中嶋 博行

江戸川乱歩賞を信じて借りたけど、期待以上のものはなかった。

主人公の女検察官にあまり気持ちが入らず、のりもいまひとつよくなかった。

よくある権力闘争で、それ以上の深みがなく、本格推理ってほどのものでも、、。
検察官日記、とまでは言わないけど、検察官+裁判官+弁護士 の権力争い
をテーマにしたら、こうなるだろうなーという話でした。
↓↓↓


内容(「BOOK」データベースより)
横浜の閑静な高級住宅街で、大物弁護士・西垣文雄が惨殺された。横浜地検の美人検察官・岩崎紀美子は、捜査を進めるほど、事件の裏に大きな闇を感じる。日弁連と検察庁、警察庁そして県警の確執…。現役弁護士作家が法曹界のタブーを鋭くえぐった、第40回江戸川乱歩賞受賞の傑作リーガル・サスペンス。

著者紹介
1955年、茨城県生まれ。弁護士。早稲田大学法学部卒。横浜弁護士会に所属しながら、''''94年『検察捜査』で第40回江戸川乱歩賞を受賞。以後、弁護士と作家との2足のわらじを履き、現役弁護士ならではのリーガル・サスペンスで高い評価を得ている。著書『違法弁護』ほか。


2008年5月26日月曜日

最後の記憶  綾辻 行人

綾辻作品の王道かと思いきや、個人的にはちょっと変化球のホラー。
少なくとも本格推理ではない。まったく。

オチも「え~」って感じだし、展開も「この先どうなるのかなああ」
と思いきや、なんとなく解決していくし、、。

他の作品のほうが絶対いい、と期待はずれ感はありました。
まあ、綾辻先生のほかの作品のレベルが高いので、そのあたりは
かわいそうな評価かも。


内容(「BOOK」データベースより)
若年性の痴呆症を患い、ほとんどすべての記憶を失いつつある母・千鶴。彼女に残されたのは、幼い頃に経験したという「凄まじい恐怖」の記憶だけだった。バッタの飛ぶ音、突然の白い閃光、血飛沫と悲鳴、惨殺された大勢の子供たち…死に瀕した母を今もなお苦しめる「最後の記憶」の正体とは何なのか?本格ホラーの恐怖と本格ミステリの驚き―両者の妙なる融合を果たした、綾辻行人・七年ぶりの長編小説。

2008年5月25日日曜日

ヴィズ・ゼロ  福田 和代

関西国際空港でのハイジャックを舞台にしたサスペンス。
警察庁のキャリア官僚と警視庁の元機動隊員との友情や
大学時代のエピソードが絡み合い、ハイジャック犯との
攻防戦を描いた作品。

まあ、先は気になったけど、なんとなくやめ時を探していたような
作品でもありました。

オチは途中で分かるけど、共犯者が最後までわからなかった。
続編が出てきそうな終わり方で、それはそれで楽しみでもある。
続編のほうが期待が持てる不思議な話でした。


2008年5月24日土曜日

総会屋勇次  江上 剛

これまた短編のうすうす系。

一人の総会屋を軸に、いろんな事件に巻き込まれる。

ただ、巻き込まれ方が中途半端で、ひとつのジャストアイディアを
無理やり原稿用紙100枚くらいにして、短編にした感じ。

江上ファンなら読めるけど、なーーんも経済やビジネスに興味
がない人はまったく意味がない。
エンタメ要素を入れているけど、エンタメになっていないので注意。

↓↓↓

内容(「BOOK」データベースより)
刑務所から二年ぶりに娑婆に戻った総会屋の木下勇次。だが、彼を待っていたのは、最愛の娘が自殺したという事実だった。娘の死の理由を調べる勇次は、その背後に投資ファンド経営者として暗躍する男の影を見て…。下請けの口を封じ違法建築に走る大手デベロッパー、行員の労災さえ認めない銀行トップなど、醜い企業論理と経済界のアウトローの闘いを五篇収録。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
江上 剛
1954(昭和29)年、兵庫県生れ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行。梅田、芝の支店を経て、本部の企画、人事部門に勤務。’97(平成9)年の第一勧銀総会屋事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力した。2002年に、築地支店長を務める傍ら『非情銀行』を発表して作家デビュー。’03年3月、第2作『起死回生』の刊行と同時に、みずほ銀行を退行して、以後、執筆に専念している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


2008年5月23日金曜日

失格社員  江上 剛

短編なのでサクサク読めるけど、記憶に残らない作品。

新聞のコラムを読む程度に、あるいは投稿欄に期待する程度に
読み進めればいいかも。
↓↓

2008年5月22日木曜日

NR  (ノーリターン) 川島 誠

図書館で、さくっと目に付いて、なんとなく借りてしまった本。

本好きならなんとか読めるが、そうでない人は途中でやめるかも。
よくある「展開だけで引っ張る系」で、深みも、なぞときもありゃしない。

会話のリズムとモチーフがよければいいのか、という感じ。

まあ、逆に言えばリズムはいいので、トコトコ読めるし、モチーフは
変わっているので、漫画的に読める。

深みがいらない、暇つぶしていい、という人はどうぞ。
(でもオチはひどいよ~)
↓↓↓

内容(「BOOK」データベースより)
俺、高橋進。らしい。なんでも、日本でも指折の素質を持ったランナー、で、あらゆる科学の天才。だったみたい。でもね、俺、記憶がないの。ぜんぜん。交通事故で両親と自分の記憶を同時になくしちゃったみたいなのよね。病人だっていうのに、変わり者の中国人(マフィア?)が病室におしかけてきて、アレを出せって迫るし、コーチは陸上界の未来を背負って立てとか言うし、バルセロナからきた15歳の叔母さんは妙にかわいいし。で、あげくの果てに救世主?エル・サルバドール…?なんなのよ、それって。あー複雑。もう、いいか、こんなこと。…なんていってもみんな、ほっといてくれないのよねえ。


2008年5月21日水曜日

最終退行 池井戸 潤

これもまた、、ちゅうと半端な。。。
というか、最近経済ものが続いているので飽きているのかも。

よくある「ジャンルジャンキー」
同じジャンルに凝り始めると、もっともっとと、刺激の強い
話を求めてくる病気(私が今作りました)。

まあ、いずれにせよ、自分としては物足りなさが残る。
よくある銀行内部の「下からの反逆系」の話。

銀行に勤めている人や、銀行と縁があった人は読んでみてもいいかも。
↓↓



出版社/著者からの内容紹介
ゼネコンへの巨額債権を放棄する一方、中小企業に対しては貸し剥がしさえも辞さない銀行というエリート組織に、中小企業の経営者を相手にコツコツと働いてきた現場銀行員が、仕事への誇りを賭けて闘いを挑む。
 「負け組」と言われる東京第一銀行の副支店長・蓮沼鶏二は、締め付けを図る本部と、不況に苦しむ取引先や現場行員との板挟みに遭っていた。ただでさえ業務多忙のうえ、エリート意識が強く本部の意向を第一に考えて動く支店長とも対立し、毎日のように遅くまで残業、最後に支店を出る「最終退行」の常連でもあった。バブル期の経営責任もとらず、公的資金に頼りながら、なおも会長として院政を敷く元頭取、その会長に意趣返しをしようと策謀を巡らすリストラに遭った行員との攻防。銀行ぐるみの不正の匂いをかぎつけた副支店長は、ついに反旗を翻す。
 攻守ところを変えるスリリングなドラマから現代サラリーマン社会の構造的欠陥を浮き彫りにする。

2008年5月19日月曜日

タックス・シェルター 幸田 真音

幸田作品はほぼ読んでいるけど、ちょっと飽きてきた感じ。

一番お得意の金融市場系の話なんだけど、生臭い話ばかりで
経済系のニオイが薄い。

最後もどーでもいいオチで、読後感もそれなり。
サスペンスにするならするで、もっと深く切り込んで欲しいし、
男女モノにするならやり取りの妙や心理描写などもっと欲しいし
タックスの裏情報なら、めったにしらない新情報が欲しい。。

全てにおいて中途半端
↓↓



本の説明
タックス・シェルター
外資系銀行や証券会社での債券ディーラー業を経て、経済小説家に転身した幸田真音氏。巨大マネーが飛び交う金融業界の舞台裏と、その大波に翻弄される人間たちの生き様を描写し、多くのファンを獲得している。本書は昨年「週刊朝日」誌上で連載された同名の小説に加筆・修正したもの。「タックス・シェルター」とは、税法の網の目をかいくぐって、巨額の財産を保有し増やすための方法のことで、「課税逃れ商品」とも呼ばれる。
中堅証券会社、谷福証券の創業者にして辣腕経営者である谷山福太郎が、突然の病でこの世を去った。家族に100億円にも及ぶ資産を残した谷山だったが、ただ1人、心を許した部下であり、自分を慕ってくれた財務部長の深田道夫にだけは、秘密裏に築いた海外の隠し口座の存在を告げ、管理を託していた。谷山の死後、深田は金融ブローカーの助言などもあって、隠し資産の中から絵画の売却で得られた一部の450万ドルを運用し始める。

一方、深田が好意を寄せる女性、宮野有紀は、国税調査官であった。宮野も深田を1人の男として意識し始めるが、ある偶然から深田による脱税の事実を知ってしまう…。「タックス・シェルター」によって人生の歯車を狂わせていく者たちの心理を巧みに描く。


(日経ビジネス 2006/10/23 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)


2008年5月15日木曜日

ビター・ブラッド 雫井 脩介

内容も面白く、展開も行き付かせぬ感じ。
推理はまあまあ、、。

警察内での裏切りがテーマだけど、それはあんまり深堀してなくて、
よくある警察モノでかつちょっと家族系。
若手刑事ががんばっている小説、って感じ。

↓↓↓


出版社 / 著者からの内容紹介
警視庁の新米刑事・佐原夏輝。初の現場でコンビを組むことになったベテラン刑事は、 少年時代に別離した実の父親だった――。各界から大きな注目を集める著者による、渾身のミステリー。

2008年5月14日水曜日

カレンダーボーイ 小路 幸也

お約束どおりのホロリ系。
タイムトラベルや青春モノが好きなの人には鉄板の面白さ。

サスペンス的な切り口もあり、ちょい謎解きだけど、
ほとんど意味がなく、完全に青春ホロリ系とエンタメ
と思って読んで下さい。
↓↓↓

20世紀と21世紀を行き来するタイムトリップ物語。
1968年の時代には同級生の安斎と三都は、2006年の時代には同じ大学で働く職場の仲間なのだ。大人になった2人は、家族と昔の同級生を救うためにタイムトラベルをした1968年の小学生の姿で3億円の強奪と同級生の命を救おうとするが…!?

2008年5月13日火曜日

触発 今野 敏

自衛隊と警察のよくあるメンツ争いの中、現場レベルでは
着々と真実に近づいて、いつの間にか一致団結して、真の敵と
戦うことになる。。

という、よくある警察もの。

爆弾処理と犯人(ちょっとだけ仕掛けアリ)との争いは面白かった
けど、全体的に、今野先生作品のファンじゃないと面白さは感じないかも。
↓↓↓

内容(「BOOK」データベースより)
朝のラッシュで混雑する地下鉄駅構内で爆弾テロが発生、死傷者三百名を超える大惨事となった。その威信にかけ、捜査を開始する警視庁。そんな中、政府上層部から一人の男が捜査本部に送り込まれてきた。岸辺和也陸上自衛隊三等陸曹―自衛隊随一の爆弾処理のスペシャリストだ。特殊な過去を持つ彼の前に、第二の犯行予告が届く!はたして犯人の目的は、一体何なのか。

2008年5月12日月曜日

黒と白の殺意 水原 秀策

囲碁業界の話だけど、ルールを知らない人でも楽しめる
内容。
ただ、推理小説と思って読んだら、失敗するかも。
推理時代の奥深さはなく、どちらかというと、囲碁の世界の
面白さや、その中での勝負の世界が面白い。
↓↓↓


内容(「BOOK」データベースより)
椎名弓彦は「殺し屋」の異名を持つ、天才的なプロ囲碁棋士。ある日弓彦は、対局で訪れたホテルで、日本囲碁協会・大村理事の死体を発見する。股間と胸を刺されて絶命している彼のそばには彼の小学生の息子、啓太が呆然と立ち尽くしていた。容疑者は弓彦の弟、直人。IT関連の会社に勤めており、日本囲碁協会とビジネス上のつきあいがあった直人は、彼にリベートの増額を要求されたことが動機ではないかと疑われていた。その矢先、直人は大村の自宅に不法侵入した罪で拘留されてしまう。弟の無実を信じる弓彦は、直人の会社のやり手女性経営者・桐山千穂の協力を得て調査を開始する。日本囲碁協会の不正を暴こうとする二人は、思いもよらない事実を次々と発見し…。


2008年5月11日日曜日

花水木―東京湾臨海署安積班  今野 敏

鉄板系の短編警察小説。

今野先生の作品の中でも比較的落ち着いていて、すっきり
読める作品。
ただ、、深み闇系や、ドスンとくる読み応えを期待しているなら
迷わず「 果断―隠蔽捜査2 」を読みましょう。


2008年5月9日金曜日

ホルモー六景  万城目 学

鴨川ホルモーを読んでいないと、面白さは1/3くらい。
この本を読む直前に読んでいたほうがいいかも、ってくらい。

というか、2部作とおもって、連続で読んで下さい。

この本自体は短編なので、ある一定の質が保たれた作品だけど
今までの万城目作品(といっても2作か)と比べるとちと落ちる。

それぞれ恋愛がテーマで、鴨川ホルモーで出てきた人たちが
主役でガンバっているけど、そろそろアンパイな作品作りに
なっているような気がして少し残念。
↓↓↓

2008年4月27日日曜日

Hello,CEO.  幸田 真音

幸田作品でよくあるビジネスもの。
タイトルが結構面白いので、即借りしたのに、、、ちょっと残念は薄さ。
内容なシーンがよくあるパターンで、取材が足りないような作品。

サクセスストーリーとして軽く見るのはいいけど、ビジネスに役立てようとか
経済書的なイメージを持って買うと失敗するかと。

2008年4月24日木曜日

ジェネラル・ルージュの凱旋 海堂 尊

大人気シリーズ第3弾。

前回の『ナイチンゲールの沈黙』と同時期に起こった事件を
取り上げている。
パラレルワールドってわけじゃないけど、パラレルに同じ舞台で
違う事件が進行している。

『ナイチンゲールの沈黙』に出てくる人もさりげなく登場し、その
事件のことも触れているが、本筋にはまったく関係ない。
また『螺鈿迷宮』にも登場する姫川も出てくるので
シリーズオールキャスト登場、といったところ。

このこのシリーズのファンにはちょっと面白いかも、と思える
しかけが随所にある。

思わず、『ナイチンゲールの沈黙』『螺鈿迷宮』を読み返そうとおもったほどだ。

で、作品。

これがまたシリーズ最高傑作。帯びで説明している言葉にうそはない。

疑惑自体はたいしたことないんだけど、リズムといい、おなじみの
言葉遊びといい、すべてがビタッとはまっている。

イッキ見の典型のようなお話。

初めてシリーズを読む人でもまったく問題なく、あらすじ以上のエピソードや
展開があり、また最後の最後までいろんなネタが盛り込まれていて、退屈する
間もない。

特に最後のほうで出てくるある、事件はもうエンタメ小説の最高潮といっても
過言じゃない展開。

読んで損なし、いや、絶対読んで。
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出版社 / 著者からの内容紹介
第4回『このミス』大賞受賞作&28万部突破の『チーム・バチスタの栄光』、15万部のベストセラー『ナイチンゲールの沈黙』に続く、大人気・田口&白鳥シリーズ第3弾の舞台は、救命救急センター。

医療問題、収賄事件、大災害パニック…あらゆる要素がつまった、
シリーズ最高傑作のメディカル・エンターテインメント!

(あらすじ)
 桜宮市にある東城大学医学部付属病院に、伝説の歌姫が大量吐血で緊急入院した頃、不定愁訴外来の万年講師・田口公平の元には、一枚の怪文書が届いていた。それは救命救急センター部長の速水晃一が特定業者と癒着しているという、匿名の内部告発文書だった。病院長・高階から依頼を受けた田口は事実の調査に乗り出すが、倫理問題審査会(エシックス・コミティ)委員長・沼田による嫌味な介入や、ドジな新人看護師・姫宮と厚生労働省の“火喰い鳥”白鳥の登場で、さらに複雑な事態に突入していく。
 将軍(ジェネラル・ルージュ)の異名をとる速水の悲願、桜宮市へのドクター・ヘリ導入を目前にして速水は病院を追われてしまうのか……。そして、さらなる大惨事が桜宮市と病院を直撃する。

2008年4月22日火曜日

そして殺人者は野に放たれる 日垣 隆

この本を読んだのは今年の2月だが、あえてこの日にレビューを書きます。
この本は、「事実」と「現実」を見極める、ひとつの訓練だとおもって
読んで下さい。

賛否両論あるとおもいますが、あらゆる角度から物事を知り、自分なりの
分析と考え方の指針に少しでも役に立てばとおもいます。

是非読んで下さい。

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出版社/著者からの内容紹介
<第三回新潮ドキュメント賞受賞>
「心神喪失」の名のもと、罪に問われぬヤツがいる!

 「歩き方が悪い」と四人を死傷させた男、「テレビがうるさい」と二世帯五人を殺害した大学生、長男の受験を悲観して我が子三人を絞殺した母親──。人を殺しながら、心神喪失だとして何の罪にも問われず、何事もなかったように社会に舞い戻ってくる凶悪犯たち。
 大メディアがタブー視、黙殺し続ける問題に、たった一人のジャーナリストが果敢に切り込んでいった渾身のノンフィクション。

2008年4月21日月曜日

半パン・デイズ  重松 清

重松先生作品だったので、読んでみました。

あまり好きじゃないテーマだけど、さすが重松先生、問題なく
面白かったです。

深く泣かせることもなく、重いこともなく、筆力だけで読ませていきます。
子ども時代を懐かしむ人でもいいし、そうでなく単にいい作品を
読みたい人も、読んでいいかも。

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内容(「BOOK」データベースより)
東京から、父のふるさと、瀬戸内の小さな町に引越してきたヒロシ。アポロと万博に沸く時代、ヒロシは少しずつ成長していく。慣れない方言、小学校のヤな奴、気になる女の子、たいせつな人との別れ、そして世の中…。「青春」の扉を開ける前の「みどりの日々」をいきいきと描く、ぼくたちみんなの自叙伝。

2008年4月20日日曜日

制服捜査 佐々木 譲

本格的な、警察暗部系の作品。
横山作品より生々しく、現場レベルの視点で描かれています。

短編なので、さくっと面白く読めるかと。
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内容(「BOOK」データベースより)
警察官人生二十五年。不祥事をめぐる玉突き人事のあおりで、強行犯係の捜査員から一転、単身赴任の駐在勤務となった巡査部長の川久保。「犯罪発生率、管内最低」の健全な町で、川久保が目撃した荒廃の兆し、些細な出来事。嗅ぎつけた“過去の腐臭”とは…。捜査の第一線に加われない駐在警官の刑事魂が、よそ者を嫌う町の犯罪を暴いていく、本物の警察小説。

2008年4月19日土曜日

図書室の海 恩田 陸

夜のピクニックが好きだったので、つい借りてしまいました。
短編の一作がこの作品の前日がテーマなんだけど、、、さくっと
終わってしまいました。。

サクサク読むのはいいです。読後感もさっぱり。
いやなところはないけど、いいところもそんなにないです。

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内容(「BOOK」データベースより)
あたしは主人公にはなれない―。関根夏はそう思っていた。だが半年前の卒業式、夏はテニス部の先輩・志田から、秘密の使命を授かった。高校で代々語り継がれる“サヨコ”伝説に関わる使命を…。少女の一瞬のときめきを描く『六番目の小夜子』の番外篇(表題作)、『夜のピクニック』の前日譚「ピクニックの準備」など全10話。恩田ワールドの魅力を凝縮したあまりにも贅沢な短篇玉手箱。

2008年4月17日木曜日

そこへ届くのは僕たちの声  小路 幸也

完全なファンタジー系作品。
まったく毒がないです。
さっぱり、すっきり、さわやかです。

最後の最後で、ちと悲しいシーンがあるのですが、
この作品の第2弾が出るための布石ような気もします。

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内容(「BOOK」データベースより)
植物人間を覚醒させる能力を持つ人がいるという噂と、各地で起きる奇妙な誘拐事件。無関係なはずの二つの出来事を結んだのは、“ハヤブサ”というキーワードだった。“ハヤブサ”とはいったい何なのか?―うちに秘めた「見えざる力」を駆使して、、次々と降りかかる試練を乗り越える子供たち。本当の友情と勇気を描いた物語。

2008年4月15日火曜日

環境問題のウソ 池田 清彦

いま、ちょっとしたブームの別視点系作品。
環境問題の一辺倒の中で、それが違う答えがある
という見せたかをする。

ただ、、、これも池田先生だけの計測方法と視点。
すでにこの中の「事実」も、もう間違っているといいきる
某雑誌もある。。。

何が本当か分からないけど、一個一個つぶしていこう。。
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商品の説明
環境問題のウソ
生物学者の著者が、環境問題について世間で流れている情報は「かなりいかがわしい」と指摘する。取り上げるのは、地球温暖化、ダイオキシン、外来種、自然保護の4つの問題。例えば、「外来種を駆除しなければ生態系は守れない」という主張がある。だが、生態系は生産者、消費者、分解者から成るシステムで、消費者の外来種が入っても機能は止まらない。生存競争や混血により消滅する生物があっても、それは生物進化の帰結で、生態系の破壊とは言えない。「CO2の排出を抑制しないと地球は大変なことになる」「ダイオキシン排出を規制しないと国民の健康は守れない」といった主張と同じパターンの“ウソ”だとする。

2008年4月14日月曜日

果断―隠蔽捜査2 今野 敏

ものすごいロジカルシンキングでかつ力があるキャリアが主人公。

いやみなキャリアっていうよくあるパターンがまったく当てはまらず
前作で失脚しつつも、いままで積み上げた力と同期の協力なども得て
次々と問題を打破していく。


かっこいい。
その一言につきる。

いままで見た主人公の中でも最高レベル。

警察モノがあまり好きじゃない人でも、ビジネス系や上下関係
で悩んでいる人には、スカッとするいい作品。

次回作が最も楽しみなシリーズだ。
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2008年4月13日日曜日

ダイイング・アイ  東野 圭吾

一番好きな作家で、ほぼ全作品を読んでいる。
しかし、、、最近の傾向なんだけど、非常に、、薄い。。

昔は、筆力なのか、迫力なのか、非常に重く、深く、
密度の高い作品ばかりだった。

テーマは単純、登場人物も数人、なんていう作品でも
ものすごく読み応えがあった。

これは、、まあ、東野先生の中では「駄作」でしょう。
通常の小説の中ではそれなりのできだけど。

一気見ではあったけどこの作品がどうだったのかなんで
すぐ忘れちゃった。

その程度です。
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出版社 / 著者からの内容紹介
誰もが少しずつ嘘をつき、
誰かを陥れようとしている。

記憶を一部喪失した雨村慎介は、自分が交通事故を起こした過去を知らされる。
なぜ、そんな重要なことを忘れてしまったのだろう。
事故の状況を調べる慎介だが、以前の自分が何を考えて行動していたのか、思い出せない。
しかも、関係者が徐々に怪しい動きを見せ始める……。

俺をみつめるマネキンの眼。
そいつは、確かに生きていた。

2008年4月12日土曜日

追伸 真保 裕一

手紙のやり取りの形式だけでストーリが進んでいる、ちと変わった話。
現代の男女の話なんだけど、女性の祖父母の当時の戦後の男女の話になる。

両方とも、なぜか女性のほうが旗から見るとどーでもいい理由で
分かれようとするけど、当然ながら裏に隠された真実があるっぽい。。。

ダイレクトに裏がある風を見せるわけじゃなく、本当に薄ーーく
見せていく。

いつまでのこの手紙が続くのかとあき始めたら、すぐ続きが気になる
テーマが入ってきて、なかなかどうして引っ張り上手。

そんなに深い感動でもないけど、読み応えはあり。
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出版社 / 著者からの内容紹介
50年前、殺人の容疑で逮捕された祖母と無実を信じる祖父の間で交わされた手紙には、誰も知ることのない真実が語られていた──

2008年4月11日金曜日

警察庁から来た男 佐々木 譲

よくあるキャリアとノンキャリアの戦いかとおもったら、
いろんなネタがちりばめられて、なおかつややこしい裏金系
の問題やらで、中身充実で進んでいく。

警察モノとしてはレベルが高い作品だが、ちとリズムが悪い
瞬間があり、中だるみもなきにしもあらず。。

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内容(「BOOK」データベースより)
北海道警察本部に警察庁から特別監察が入った。やってきた監察官は警察庁のキャリアである藤川警視正。藤川は、半年前、道警の裏金問題の為に百条委員会でうたった(証言した)津久井刑事を彼のもとに呼び出し、監察の協力を要請した。藤川は道警の何に疑問を抱いているのかはっきりとは言わなかった。一方、札幌大通署の佐伯刑事は、署から程近いホテルでの部屋荒らしの件で捜査に向かっていた。被害にあった男は、昨年末、すすき野の風俗営業店での「会社員転落死事故」で死んだ男の父親だった。息子の死が転落事故として処理されたことに納得のいかない父親が、大通署に再捜査の依頼に来て、ホテルに泊まっていたのだという。転落事故に不信を抱いた佐伯は、部下の新宮とともに事故現場である風俗営業店に向かうのだが…。

2008年4月9日水曜日

日輪の遺産 浅田 次郎

テーマは面白いけど、ちょっと強引な展開かと。
どうも浅田先生は波がある。

もちろん最後まで読んだし、あらすじも覚えているが
感動はないなあ、。。

エンタメを期待したらダメ。浅田作品だと思って読まないと。。

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出版社/著者からの内容紹介
帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に隠したという時価200兆円の財宝。老人が遺(のこ)した手帳に隠された驚くべき真実が、50年たった今、明らかにされようとしている。財宝に関わり生きて死んでいった人々の姿に涙する感動の力作。ベストセラー『蒼穹の昴』の原点、幻の近代史ミステリー待望の文庫化。


2008年4月1日火曜日

FLY 新野 剛志

15年間をじっくり追いかけた復習劇。

途中からオチは分かるけど、それだけじゃなく「せつない」感じ
がある、復習劇。

最後でほろっとさせるが全体的にはちとグイグイ感が足りない。
テーマも登場人物もいい感じなので、イッキ見で引っ張って
欲しかった。
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内容(「MARC」データベースより)
すべてはあの夏の「出会い」から始まった。恋人を目の前で殺された男が犯人を執念で追う。15年の歳月の果てに判明する衝撃の事実。『別冊文芸春秋』連載を単行本化。

2008年3月30日日曜日

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ  滝本 竜彦

Greeeenの曲でPVがこの作品の映画の抜粋だったので知りました。
曲とPVがものすごくあっていて、どっちかっていうとそっちがお勧め。

曲を知ったときにはもうぎりぎりで映画の公開が終わっていたので
仕方なく本を借りました。
(どういう順序だ。。。)

でもこれがまた大正解。

内容といい、展開といい、オチといい、何も考えないで好き勝手
作品を書いている感じだけど、天才なのか、偶然なのかものすごく
いい作品になっている。

読後感は最高。内容はぐずぐず。
是非読んで、といいたいが、まあ、ノベライズが好きな人向け。
↓↓↓

内容(「BOOK」データベースより)
ナイフを投げろ!チェーンソー男を倒せ!鬱屈した青春を後ろ向きに駆け抜ける新世代グルーヴィー・ノベル。第五回角川学園小説大賞特別賞受賞。


2008年3月29日土曜日

生存者、一名  歌野 晶午

舞台設計は面白くて、テーマも引き込まれる話。
どんどん殺されていって、最後に残るのはいったい、、というよくある
展開の割には、気になって仕方がない。

途中、中だるみもありつつも、最後は予想外のオチ。
これでいいのか、って話もあるが。。

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内容(「BOOK」データベースより)
鹿児島の遙か沖の孤島、屍島に六人の男女が降り立った。彼らは都内で爆弾テロを行なった四人の実行犯と二人の幹部だった。翌日、幹部の一人が船とともに姿を消し、残りの五人は文字通り絶海の孤島に閉じ込められた!組織に対する疑心と、食料をめぐる仲間同士の暗鬼。やがて、一人また一人と殺されていく…。犯人は誰か?そして、最後に生き残る者は。

2008年3月27日木曜日

錯誤のブレーキ 中町 信

いや~オチがまったく分からなかった。
そうきたか、と。

別にすごく凝っているわけでもないけど、話の展開や方向性
などから完全に読み流していた。

ただ、なぜかリズムや途中途中の話がつまらなくて、完全に
飛ばしていた。
あ、だから分からなかったのか。。。

中町作品の中でも、オチだけ決めて、途中は膨らまして書いていった
のが透けて見えた作品。
主人公の探偵夫妻もつまらなかったぁあ。


なんで最初の50pくらい読んだら、あとはラスト10Pを読んで
も大丈夫です。

↓↓↓

内容(「BOOK」データベースより)
雨の夜の正面衝突事故。運転していた島津群四郎は即死。同乗していた三人は、瀕死の重傷。原因は運転ミスと思われたが、この事故が、連続殺人事件の始まりだった!島津と同乗者には、奇しき因縁があったのを知った素人探偵の和南城健・千絵夫婦が解明した、恐るべき復讐の真相とは…!?これぞ中町ミステリの真髄!!書下ろし長編本格推理。


2008年3月26日水曜日

女王様と私 歌野 晶午

タイトルどおり、キモ系の話です。

正直、小説なら何でも読む人ならどうぞ、って感じ。
このミスなど著名なタイトルを総なめしている作者だが
これはテーマからいってちょっと好き嫌いが分かれるかと。

だが、本格っぽくもあるし、内容も濃いので、作品自体
の評価は高い。

微妙だ。。。
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内容(「BOOK」データベースより)
真藤数馬は冴えないオタクだ。無職でもちろん独身。でも「引きこもり」ってやつじゃない。週1でビデオ屋にも行くし、秋葉原にも月1で出かけてるし。今日も可愛い妹と楽しいデートの予定だったんだ。あの「女王様」に出逢うまでは。彼女との出逢いが、めくるめく悪夢への第一歩だった…。「このミステリーがすごい!」1位。「本格ミステリ・ベスト10」1位。日本推理作家協会賞受賞。本格ミステリ大賞受賞。四冠制覇の歌野が贈る、未曽有の衝撃。

2008年3月25日火曜日

架空取引  高任 和夫 

経済小説としては異色というか、一皮ひねった面白さ。
よくある出世ものだけじゃなく、かといって巨悪と戦うだけでもない。

審査部長ってところと、不良債権と銀行のイラやらしさが随所に
現れてあきさせない。

経済小説が好きな人は問題なく楽しめる。
↓↓↓


出版社/著者からの内容紹介
企業悪と対決する男の運命
不良債権に絡む巨悪の正体を追う経済サスペンス小説。

銀行系リース会社に勤める中年管理職の甲斐(かい)は、左遷の身だったが、8年ぶりに審査部長として呼び戻される。さっそく審査に乗りだすと、目にあまる不良債権、おかしな伝票、迂回取引の実態が浮かびあがる。会社を覆うどす黒い影の正体とは?一度は敗れた男が再生を賭け、企業悪と対決する経済サスペンス。




2008年3月24日月曜日

氷舞―新宿鮫  大沢 在昌

相変わらずアンパイの新宿鮫シリーズ。

安心して面白く読める。
ただし、テイストから展開から毎回同じなので、そこは
矛盾するかもしれないけれど、つまらないところ。

いくらテーマや舞台や新しい女性が現れても、鮫島がかっこいい
のは同じだし、悪者と一瞬意気投合するのもおなじみ。

そして内部に裏切り者っぽい人と、ライバルっぽい人が最後
手を組むのも同じ。

まあ、いっか。。
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内容(「BOOK」データベースより)
西新宿のホテルで元CIAの米人ブライドが殺され、新宿署刑事・鮫島の追う日系コロンビア人・ハギモリが消えた。事件の鍵を握る平出組の前岡に迫る鮫島。しかし、事件に関わるすべてが、なぜか迅速強固な公安警察の壁で閉ざされる。その背後には元公安秘密刑事・立花の影が。捜査の過程で鮫島は、美しく、孤独な女・杉田江見里と出逢う。その鮫島を幾重にも襲う絶体絶命の危機!!血と密謀にまみれた立花が守る、公安の奥深くに隠された秘密とは?ラストに絶望と至福が、鮫島を、江見里を、そして読者を待ち受ける。二年ぶり待望のシリーズ第6弾、新たなる興奮と感動のページが開かれる。

命の終わりを決めるとき 朔 立木

究極の恋愛といっていいのかどうなのか。。
正直、重いテーマで男女の話を書きましたというテイストで
そんなに好きになれなかった記憶。

読み応えがないわけじゃーないけど、好き嫌いが分かれるとおもう。
重い恋愛小説がすきは人は問題なし、軽く小説を読みたい人は避けて下さい。
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内容(「BOOK」データベースより)
愛が「殺人罪」と評価されるとき。評判の女医はなぜ患者に致死量の筋弛緩剤を注射したのか?結納を控えて女はなぜこの世でたった一人好きなその男を殺したのか。愛の果てに立った二人の女が選んだ「犯罪」に至る動機を克明に描く。

2008年3月22日土曜日

「会計」ってなに?―12歳からはじめる賢い大人になるたち

会計学をやさしく簡単に説明している、という最近はやりの会計学モノ。
やさしいのは分かったけど、勉強したいってわけじゃないので、できれは
はやりモノのように、どこかの商売を例にとって具体的なテストケース
でほとんど占めるような構成がありがたかった。。

まじめに知りたい人は大丈夫。エンタメ要素が欲しい人は別の本を。
↓↓↓

ねにもつタイプ   岸本 佐知子

やばいくらい覚えていない。
というか、なんでこの本を借りたのかすら覚えていない。

おそらく10Pも読んでいないとおもう。


2008年3月21日金曜日

夢見る黄金地球儀 海堂 尊

バチスタシリーズと同じ地域が舞台のまったくテイストが違う話。

詐欺というか、泥棒というか、ピテカン系エンターテイメント。
次々と起こる予想外の問題を、なんとか解決しながらも最後の
大どんでん返しへと転がっていく。

ラストのオチ手間オチはなんとか読めても、最後の最後は
分からなかった。

バチスタシリーズめいたものを期待している人にはお勧めしないが
エンタメ小説をさくっと読みたい人には是非。
↓↓↓


出版社 / 著者からの内容紹介
首都圏の端っこに位置する桜宮市に突如舞い込んだ1億円。その名も「ふるさと創生基金」。だがその金は黄金をはめ込んだ地球儀に姿を変え、今では寂れた水族館にひっそり置かれているだけとなった――はずだった。が、ある日を境にトラブル招聘体質の男・平沼平介の日常を一変させる厄介の種へと変貌する。
8年ぶりに現れた悪友が言い放つ。「久しぶり。ところでお前、1億円欲しくない?」
かくして黄金地球儀奪取作戦が始動する。二転三転四転する計画、知らぬ間に迫りくる危機。平介は相次ぐ難局を乗り越え、黄金を手にすることが出来るのか。『チーム・バチスタの栄光』の俊英が放つ、驚愕のジェットコースター・ノベル!

2008年3月19日水曜日

その日のまえに  重松 清

読んだとき、泣いたような気もするが、悲しいかな内容をほとんど
覚えていない。。

流星ワゴンは非常にいい作品だったのだけど、これは同じ系とは言え
記憶に残っていないのだから、そうでもないのだろう。。

ちなみに、連作短編集で、それぞれ別の主人公の別のストーリーがある。
なので、どれかはきっと気に入るだろうから、さくっと泣きたいときには
読んでみてもいいかも。

↓↓↓
出版社 / 著者からの内容紹介
僕たちは「その日」に向かって生きてきた
男女が出会い、夫婦になり、家族をつくって、幸せな一生なのか。消えゆく命の前で、妻を静かに見送る父と子。感動の重松ワールド

2008年3月17日月曜日

ブラック・マジック 大岡 玲

まあ、よくある戦い系です。
ただ、内容はきっちり書かれていて、背景・設定もそこそこ面白い。

流れもいいし、ノベルズ系のようなあらすじだけど読み応えはあります。
ただ、いかんせん、殺戮なので、読後感がいいとは言えないです。。
↓↓↓

内容(「BOOK」データベースより)
連続殺人鬼としての過去の記憶に苛まれる遺伝子研究者、幼年期に悲惨なトラウマを負った宗教団体「ツシマ」に復讐を企てるベンチャー企業社長、教団内でのイニシアチブを失いかけている「ツシマ」代表、家庭崩壊に見舞われたノンフィクションライター。それぞれの瑕、それぞれの欲望を抱える四人が出会い、想像を絶する結末への疾走がはじまった…。「幸福」を求めてもがきつづける怪物的人間たちを描く傑作長篇小説。

2008年3月9日日曜日

砂漠 伊坂 幸太郎

伊坂リズムを楽しむ本。

もちろん、いつもの青春っぽいテイストは守られていて、読後感も
それなりにある。

まあ、短編なので飽きることなく話は続いていくのだけど、途中で仲間の
悲しい事故などがあり、起伏に富んでいる展開でもある、

エンタメ系青春小説が読みたい人には是非。
昔懐かしい大学時代を思い出します。
↓↓↓

内容(「BOOK」データベースより)
「大学の一年間なんてあっという間だ」入学、一人暮らし、新しい友人、麻雀、合コン…。学生生活を楽しむ五人の大学生が、社会という“砂漠”に囲まれた“オアシス”で超能力に遭遇し、不穏な犯罪者に翻弄され、まばたきする間に過ぎゆく日々を送っていく。パワーみなぎる、誰も知らない青春小説。



2008年3月5日水曜日

R.P.G. 宮部 みゆき

やばい、完全に覚えていない。。

宮部みゆき先生の作品は多々読んでいるのだけど、
この作品がそうだったのかすら忘れていた。

読んでいないのかなあ。。
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出版社/著者からの内容紹介
住宅地で起きた殺人事件。殺された男性はインターネットの掲示板上で「疑似家族」を作っていた。殺人に関わりが? 虚実が交錯し、見えてきたものは…文庫書下ろしミステリー! (解説・清水義範)

2008年3月2日日曜日

凍 沢木 耕太郎

ノンフィクションと知らずに読みました。
沢木先生の本なので、当たり前といえば当たり前なのですが
構成も自然で、普通のエンタメ的な形で読み進めることができました。

ただ、オチも盛り上げもなく、淡々と物語は進んでいきます。
最後まで、「すげーなー」とエピソード満載で、山や旅行が好きな人は
絶対お勧めです。
そうでない人は、、、

↓↓↓

内容(「BOOK」データベースより)
極限のクライミングを描く、究極の筆致。『檀』から十年、最新長編作品。最強の呼び声高いクライマー・山野井夫妻が挑んだ、ヒマラヤの高峰・ギャチュンカン。雪崩による「一瞬の魔」は、美しい氷壁を死の壁に変えた。宙吊りになった妻の頭上で、生きて帰るために迫られた後戻りできない選択とは―。フィクション・ノンフィクションの枠を超え、圧倒的存在感で屹立する、ある登山の物語。

2008年2月19日火曜日

葉桜の季節に君を想うということ 歌野 晶午

正直、まったく読めなかった小説です。
あ、全てが、です。

評価も高く、レビューも同じようなカンソウばかりです。
いままで読んだ小説のなかで一番だまされた、というか
怒りもなくだまされたサスペンスです。

筆力がすごい、描写が自然、複線も見事、です。

面白くて、本格推理が読みたい人には是非!

↓↓↓


内容(「MARC」データベースより)
ひょんなことから霊感商法事件に巻き込まれた「何でもやってやろう屋」探偵・成瀬将虎。恋愛あり、活劇ありの物語の行方は? そして炸裂する本格魂! 歌野晶午スペシャル・インタビューなども収録。   


2008年2月17日日曜日

天使の卵(エンジェルス・エッグ) 村山 由佳

まあ、映画がきっかけですが、よくある恋愛小説です。
さわやかなので、誰が読んでも問題ないですが、逆にありがち過ぎて
驚きも感動もないです。

ラストはあっけなく、そしてわざとなのか、盛り上げるべきネタフリ
なのに、あえてさら~と書いています。
そこがよかったのかも、、、、。

↓↓↓

内容(「BOOK」データベースより)
そのひとの横顔はあまりにも清洌で、凛としたたたずまいに満ちていた。19歳の予備校生の“僕”は、8歳年上の精神科医にひと目惚れ。高校時代のガールフレンド夏姫に後ろめたい気持はあったが、“僕”の心はもう誰にも止められない―。第6回「小説すばる」新人賞受賞作品。みずみずしい感性で描かれた純愛小説として選考委員も絶賛した大型新人のデビュー作。

2008年2月16日土曜日

当確への布石 高山 聖史

このミスがきっかけで読みました。
ミステリーというよりはエンタメ要素の強い作品です。

確かに謎解きめいた部分はあるのですが、女性の出世物語
というか、(実際は出世しないのですが)男社会で
がんばる姿に共感したい、投影したいという方にお勧め。

↓↓↓

出版社/著者からの内容紹介
2007年第5回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作
選挙の行方、妨害工作の謎、ヒロイン自身の秘密など、複数のプロットが交錯
し、先を読まずにはいられない。吉野 仁(書評家)

(あらすじ)
 私立大学で教鞭をとり、犯罪被害者救済活動を続けてきた大原奈津子は、衆議
院統一補欠選挙東京6区への出馬を決める。前議員の田所孝夫がセクハラ
事件を起こし、その失職に伴う補選だった。そんな折、奈津子宛てに、元犯罪
者の顔写真や所在等を記したビラを撒いて騒ぎを起こしていた「凶悪犯罪抑止連
合会」という実体不明の団体から推薦状が届く。不審な団体からの支持は選挙を
不利にするため、奈津子は、教え子の夫で元刑事の平澤栄治に相談する。栄治は
抑止連の正体を突き止めるべく、捜査を開始した。
 選挙を知り尽くした策略家・森崎啓子や、抑止連との関係を書きたてる雑誌記
者、井端純平のキナ臭い動きに翻弄されながらも、栄治の捜査によって補選のカ
ラクリが見えてくる......。
選挙と、その周辺に渦巻く数々の策謀。さまざまな人物の思惑が交錯し、それぞ
れの企みが絡み合うなか、開票日が近づく。

衆議院補欠選挙をめぐる陰謀と暴露を描いた、サスペンスあふれる本格的な選挙
小説!


2008年2月15日金曜日

戦力外通告 藤田 宜永

要はリストラされたサラリーマンが、それを契機に
友人、会社、同僚、元の同級生などといろんなことに
絡みながら自分を見つめなおす、って話です。

リストラされながらも、結構いいシュチュエーション
だったりするので、そんなに悲観的にならず、リストラ
をテーマにしたエンタメだとおもって下さい。



2008年2月11日月曜日

償い 矢口 敦子

深くて重くて、悲しいお話。

推理・サスペンスではあるのだけど、なぜ人は人を、、めいたことを
考えてしまい、さらに家族とは、めいたテーマがいろいろな登場
人物と絡み合っていきます。



内容(「BOOK」データベースより)
36歳の医師・日高は子供の病死と妻の自殺で絶望し、ホームレスになった。流れ着いた郊外の街で、社会的弱者を狙った連続殺人事件が起き、日高はある刑事の依頼で「探偵」となる。やがて彼は、かつて自分が命を救った15歳の少年が犯人ではないかと疑い始めるが…。絶望を抱えて生きる二人の魂が救われることはあるのか?感動の長篇ミステリ。

2008年2月8日金曜日

都銀暗黒回廊 剣崎 学

正直あまり覚えていませんが、、よくある銀行小説だった
かとおもいます。

ビジネス書が好きな人は問題ないとおもいますが、エンタメ要素を少しえも求める人は
違う人がいいと思います。
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内容(「MARC」データベースより)
都市再開発にからみ、地上げに奔走する黒い紳士達。だが、その裏側には本分を忘れ、悪の温床と化した巨大銀行の存在があった。独特な情報力と精緻な取材結果で描く銀行犯罪。


2008年2月7日木曜日

フィレンツェでジュエリー職人になる  伊東 史子

個人的に、フィレンツェが大好きで、いつかは移住したいと
おもっているので借りた本。

かるーくおもっていたら、何気に読み応えがあり、
面白かった。

イタリアが好きな人や旅行系の紀行文など好きな人には
抵抗なく、面白さが伝わるかと。

ただし、イタリアで一旗上げようとおもっている人には
まったく参考になりません。
特異な例だから。。

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内容(「BOOK」データベースより)
デザイン事務所の仕事は楽しく、評価してくれる人もいた。けれどこの先、ずっと同じことを続けていくことは出来ない。きっと飽きる。仕事をやめ、単身でイタリアに渡り、彫金の勉強を始めた著者の自分探しの軌跡。


2008年2月5日火曜日

君たちに明日はない  垣根 涼介

軽い感じの作品かと思いきや、何気にエピソード満載で
読み応えもあり。

短編集なので、それぞれで面白さもあり事例もいっぱい。

社会勉強で読むものアリ。
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出版社 / 著者からの内容紹介
リストラを専門に請け負う会社に勤めている真介の仕事は、クビ切りの面接官。昨日はメーカー、今日は銀行、女の子に泣かれ、中年男には殴られる。はっきり言ってエグイ仕事だ。それでもやりがいはあるし、心も身体も相性バッチリの恋人もいる。そして明日は……? 笑って唸って泣かされる、恋と仕事の傑作エンタテインメント!


2008年2月4日月曜日

町長選挙 奥田 英朗

おなじみ伊良部先生の話。

空中ブランコやインザプールに比べると若干パワーダウン。
安定して読めるという利点はあるが、おなじみだけに
新しい発見はない。

定番を普通に読みたいなら是非。
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内容(「MARC」データベースより)
離島に赴任した精神科医の伊良部。そこは、島を二分して争われる町長選挙の真っ最中だった。伊良部もその騒動に巻き込まれてしまい…。「空中ブランコ」「イン・ザ・プール」でお馴染みの、トンデモ精神科医の暴走ぶり健在!

2008年2月1日金曜日

魔王  伊坂 幸太郎

この作品自体、非常に有名で、伊坂先生のこの後の作品にもいろんなところで
チョコチョコ触れる。

短編なのがもったいない、とおもったのはみんな同じなのか、魔王の派生版として
2作ほど長編が出ている(もっとだったらごめんなさい)。
もし魔王が気に入ったら、是非そちらも。
(といいつつ、1冊はまだ週刊誌で連載中・・・)
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出版社 / 著者からの内容紹介
「小説の力」を証明する興奮と感動の新文学
不思議な力を身につけた男が大衆を扇動する政治家と対決する「魔王」と、静謐な感動をよぶ「呼吸」。別々の作品ながら対をなし、新しい文学世界を創造した傑作!


2008年1月30日水曜日

ねえ、マリモ やまだ けいた, さかざき ちはる

実は、映画から見て、絵本を借りました。

映画を見た人で号泣しなかった人はいないくらい、ものすごいいい話。
これを絵本で、子どもに聞かせるのは至難の業。

小学校などの読み聞かせがあって、何かチャレンジしてみたい
人には是非。

それ以外の人は素直に映画だけをみてください。
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出版社 / 著者からの内容紹介
犬との時間は、せつないほど短い
映画『いぬのえいが』の感動作「ねえ、マリモ」原作絵本
たいせつなあなたを失った深い悲しみ、せつない思い。でも、ありがとうの気持ちは、ずっといっしょ。

2008年1月25日金曜日

最愛 真保 裕一

ものすごい女性が主人公の話。
重く、暗いが、一人の女性の生き様がこれまたすごくてつい引き込まれてしまう。

サスペンス系が好きで、恋愛小説にはまったく興味がない人には一番のお勧め。
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出版社 / 著者からの内容紹介
十八年間音信不通だった姉が、意識不明で救急病院に搬送された。重傷の火傷、頭部の銃創。それは婚姻届を出した翌日の出来事だった。しかも、姉が選んだ最愛の夫は、かつて人を殺めた男だという……。姉の不審な預金通帳、噛み合わない事実。逃げる男と追う男。「姉さん、あなたはいったい何をしていたんだ……」慟哭の恋愛長編。

2008年1月22日火曜日

君たちに明日はない 垣根 涼介

タイトルとは似つかないビジネスモノ。
連作でテンポもよく、主人公が徐々に成長していくさまは
読んでいて気持ちいい。

ただ、それぞれのエピソードが心に残るかどうかは別。
流れもテンポもテーマもいいが、暇つぶし的作品。

電車の中でさくっと読みたい作品を探しているなら是非
↓↓↓


出版社 / 著者からの内容紹介
リストラを専門に請け負う会社に勤めている真介の仕事は、クビ切りの面接官。昨日はメーカー、今日は銀行、女の子に泣かれ、中年男には殴られる。はっきり言ってエグイ仕事だ。それでもやりがいはあるし、心も身体も相性バッチリの恋人もいる。そして明日は……? 笑って唸って泣かされる、恋と仕事の傑作エンタテインメント!

2008年1月20日日曜日

愚行録 貫井 徳郎

他の人のレビューにもあったけど宮部先生の作品とも構成が似ていて、
オチも似ている。

こちらもインタビュー形式である事件がつづられていく。
なんとなく、本格っぽい謎解きもあり、事件やサスペンス、推理を
ごちゃまぜに楽しみたいなら、いいかも。

しかし救いがないです。暗いです。重いです。
内容はそんなに濃いわけでもなく、流れも普通で、淡々とインタビューが
続いていきます。

ただ、そういう割にはいいテンポで、飽きもせず、最後までなんとなく
読めてしまいます。

貫井先生にありがちな内容ですが、ありがちな良作でもあります。
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出版社 / 著者からの内容紹介
一家を惨殺した≪怪物≫はどこに潜んでいたのか? さまざまな証言を通して浮かび上がる家族の肖像、そして人間たちの愚行のカタログ。痛切にして哀切な、『慟哭』『プリズム』を凌駕する著者の真骨頂的作品、ついに登場!


2008年1月16日水曜日

流星ワゴン 重松 清

ある意味、重松作品で一番評価が一番高い作品。

長々とあらすじを載せてしまいましたが、個人的なコメントはナシで。
この年のベスト作品、かも。
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Amazon.co.jp
主人公の永田一雄の前に、1台のワゴン車が止まったことからこの物語は始まる。ワゴン車には橋本義明・健太親子が乗っており、彼らはなぜか永田の抱えている問題をよく知っていた。
永田の家庭は崩壊寸前。妻の美代子はテレクラで男と不倫を重ね、息子の広樹は中学受験に失敗し家庭内暴力をふるう。永田自身も会社からリストラされ、小遣いほしさに、ガンで余命いくばくもない父親を訪ねていくようになっていた。「死にたい」と漠然と考えていたとき、永田は橋本親子に出会ったのだ。橋本は彼に、自分たちは死者だと告げると、「たいせつな場所」へ連れて行くといった。そして、まるでタイムマシーンのように、永田を過去へといざなう。

小説の設定は、冒頭から荒唐無稽である。幽霊がクルマを運転し、主人公たちと会話する。ワゴン車は過去と現在とを自由に往来できるし、死に際の父親が主人公と同年齢で登場し、ともに行動したりするのだ。

過去にさかのぼるたびに、永田は美代子や広樹がつまづいてしまったきっかけを知ることになる。何とかしなければと思いながらも、2人にうまく救いの手を差し伸べられない永田。小説の非現実的な設定と比べて、永田と家族のすれ違いと衝突の様子は、いたくシビアで生々しい。

永田は時空を越えて、苦しみながらも毅然と家族の問題解決に体当たりしていく。その結果はけっきょくのところ、家族が置かれた状況のささいな改善にとどまるだけでしかない。それでも死にたがっていた男は、その現実をしっかりと認識し生きていこうとする。「僕たちはここから始めるしかない」という言葉を胸に刻んで。(文月 達)

出版社/著者からの内容紹介
家族小説の新境地。直木賞受賞後の初の長篇。

ひきこもり、暴力をふるう息子。浮気を重ねる妻。会社からはリストラ寸前……死を決意した37歳の僕は、死んだはずの父子が運転する不思議なワゴン車に乗り込んだ。

37歳・秋
「死んでもいい」と思っていた。
ある夜、不思議なワゴンに乗った。
そして――自分と同い歳の父と出逢った。
僕らは、友だちになれるだろうか?

28歳のときぼくは父親になり、父は「おじいちゃん」と呼ばれるようになった。親になってからの日々は、時間が重層的に流れる。小学5年生の長女を見ていると、小学5年生の頃の自分を思いだし、その頃の父のことも思い出す。少しずつ、昔の父のことがわかってきた。こどもの頃はあれほどおっかなかった太い腕が、じつは決して太くはなかったんだとも気づいた。長生きしてほしい、なんて口に出すのは嫌だから、ぼくは父親と家庭の物語を紡ぐ。――(重松清)



2008年1月13日日曜日

闇の底 薬丸 岳

江戸川乱歩賞というだけあって、本好きが読んでも不満点がない作品。
ただし、テーマは思いので事件系の話を読む人でないとお勧めしない。

描写はなく、事例が中心なのでそんなにひどくないけど、事件が多いので
やっぱり気分は重くなる。

最後も身勝手な人が身勝手に終わらせる内容だが、一応のオチもあり
救いもある。

事件系で救いがあるオチがいい人にはお勧め。
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内容(「BOOK」データベースより)
少女を犠牲者とした痛ましい性犯罪事件が起きるたびに、かつて同様の罪を犯した前歴者が首なし死体となって発見される。身勝手な欲望が産む犯行を殺人で抑止しようとする予告殺人。狂気の劇場型犯罪が日本中を巻き込んだ―。絶対に捕まらない―。運命が導いた、哀しすぎる「完全犯罪」。『天使のナイフ』の薬丸岳が描く、欲望の闇の果て。江戸川乱歩賞受賞第一作。