2012年2月28日火曜日

冬蛾 柴田哲孝

別のシリーズを読んでいたのでさくっと読めた。
主人公がかっこいいのでそこに感情移入してしまい、どんどん
話しに引き込まれる。

展開事態はそんなにミステリアスでも深いわけでもない。そこが少々残念。


内容(「BOOK」データベースより)
探偵業・神山健介に舞い込んだ不可解な依頼。一年前に冬山で起きた村人の不審な死と、殺人の疑いをかけられ失踪した依頼者の夫。真相を追って神山が足を踏み入れた七ツ尾村は、時空から取り残された人里だった。この村は、どこかおかしい!?村人は、狂っている!?吹雪で閉じ込められた神山の前に、次々と明らかになる大量殺人事件。

2012年2月26日日曜日

埋み火 日明 恩

同じ舞台だけどの別の主人公の別を読んでいたのでここはサクサク読めました。
連作形式で進んでいき、それぞれ面白いんだけど、主人公の内情や心理状況など
が所々に出てきて、それが余計。

正直なくてもまったく問題なく、逆に出てくるたびに違和感を感じる。
もったいない。。

出版社 / 著者からの内容紹介
「俺は大山雄大。職業は消防士だ。消防士は、あんたと同じ人間だ。あんたが火事で死ぬのなら、俺も火事で死ぬ」
老人世帯で連続する失火による火災。住人は、“不運な偶然が重なって”焼死。赤羽台出張所の若手消防士、大山雄大は出火原因に疑問を持ちはじめていた。……これは、放火自殺なのか……?
「何のために生きてるの? なんかね、もう、判らなくなっちゃったんだ」閉塞した世の中を雄大が救う!


2012年2月25日土曜日

箱庭図書館 乙一

きました、力作。

それぞれの短編がすごく重くて深くて読み応えあり。
特に小説に意味を持たせるわけでもなく、感動させようという意図もないけど
小説としてものすごい出来に仕上がっている。

元々読者からテーマや小説をもらって、それを作者がブラッシュアップさせている
短編なんだけど、筆力や構成力がすごい人は何をしてもすごいというのが改めて
感じる。

この人、なんでも出来るんだなあ、と天才を感じた作品でした。


内容(「BOOK」データベースより)
少年が小説家になった理由。コンビニ強盗との奇妙な共同作業。ふたりぼっちの文芸部員の青くてイタいやりとり。謎の鍵にあう鍵穴をさがす冒険。ふと迷いこんだ子どもたちだけの夜の王国。雪の上の靴跡からはじまる不思議な出会い。集英社WEB文芸「RENZ ABURO」の人気企画「オツイチ小説再生工場」から生まれた6つの物語。

2012年2月21日火曜日

共鳴 堂場 瞬一

読みやすいリズムと共感できる主人公。
この手のちょいハードボイルド的サスペンスとしてはいい流れの作品。

特に深い事実や事件、また心の闇などはないけどその分安心して読み進める
ことができる。
主人公や設定に共感しながら一緒に楽しむ、そんな作品。

内容(「BOOK」データベースより)
祖父・麻生和馬・元刑事/頑固一徹対孫・新城将・無職/引きこもり。ご近所トラブルの解決に精を出す和馬とネット命の将とのぎこちない同居生活。ある日、近所の高校生から「両親が祖母を安楽死させたのではないか」と悩みを打ち明けられ、将は心の奥底に封じ込めていたある疑惑を蘇らせた。共に暮らす中で祖父の生き方を知り、孫は真相を探ろうと決心する。

2012年2月20日月曜日

スコーレNo.4   宮下 奈都

なんかいい感じで話しが進んでいく。
内容というかテンポが。

妹のことがよく出てくるけど実際妹がそんなにでしゃばることも
深堀することもなく(1話は出てくるけど文章量からすれば少ない)
あくまでも主人公の女の子の話した淡々と流れるだけ。

いや、女性には読みやすくて共感がえら得るかもだけど、男性は。。

内容(「BOOK」データベースより)
自由奔放な妹・七葉に比べて自分は平凡だと思っている女の子・津川麻子。そんな彼女も、中学、高校、大学、就職を通して4つのスコーレ(学校)と出会い、少女から女性へと変わっていく。そして、彼女が遅まきながらやっと気づいた自分のいちばん大切なものとは…。ひとりの女性が悩み苦しみながらも成長する姿を淡く切なく美しく描きあげた傑作。

2012年2月18日土曜日

春から夏、やがて冬 歌野 晶午

歌野先生はあの名作のイメージがあるからちょっとかわいそう。
どうしてもあれと比べてしまう。
そして勝てることがない。

今回も他人の作品と比べれたらそこそこ面白いんだけど、
読者側が深読みしてしまって、その期待値を超えることなくある意味
無難に終わってしまう。

あ、無難じゃないけど、もっとすごいのかなーと。

確かにドンデン返し敵なものはあるし、救えない事実や悲しい
裏話もある。
ただ、、、それってありえるのかなあ、という疑問がぬぐえない。
またそれなら何でもありじゃん? って気もする。


ドンデン返しの推理小説をたまには読みたいという人にはどうぞ。

内容(「BOOK」データベースより)
スーパーの保安責任者の男と、万引き犯の女。偶然の出会いは神の思い召しか、悪魔の罠か?これは“絶望”と“救済”のミステリーだ。

2012年2月16日木曜日

かばん屋の相続   池井戸 潤

池井戸先生の安定した筆力と展開で、まったく問題なくすべて楽しく読むことができる。
表題の作品が一番気になっていた。原作というか、社会事件にもなった同じテーマの
事件をよく知っていて、その展開を書いたノンフィクションも別で読んでいたので
その比較みたいに読んでしまったけど、最後の最後でまったくのどんでん返しが
まっている。

実情というか事件を知っている人には是非読んで欲しい作品

内容(「BOOK」データベースより)
池上信用金庫に勤める小倉太郎。その取引先「松田かばん」の社長が急逝した。残された二人の兄弟。会社を手伝っていた次男に生前、「相続を放棄しろ」と語り、遺言には会社の株全てを大手銀行に勤めていた長男に譲ると書かれていた。乗り込んできた長男と対峙する小倉太郎。父の想いはどこに?表題作他五編収録。

2012年2月15日水曜日

ふがいない僕は空を見た 窪 美澄

内容がものすごいぐちゃぐちゃしている割には気持ち悪いこともなく
サクサク読んでしまったのは筆力が高いせいかと。

またこの流れと文体はどこかで見たような、、と思ったら桜庭先生に近いかも。
いろんな要素や見せ方が連作形式で流れていくので、飽きることなく
最後まで一気読みの作品。
デビューでこれはすごいなあと。

内容(「BOOK」データベースより)
これって性欲?でも、それだけじゃないはず。高校一年、斉藤卓巳。ずっと好きだったクラスメートに告白されても、頭の中はコミケで出会った主婦、あんずのことでいっぱい。団地で暮らす同級生、助産院をいとなむお母さん…16歳のやりきれない思いは周りの人たちに波紋を広げ、彼らの生きかたまでも変えていく。第8回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞、嫉妬、感傷、愛着、僕らをゆさぶる衝動をまばゆくさらけだすデビュー作。

2012年2月13日月曜日

パワードスーツ 遠藤 武文

設定は面白そうだったんだけど、途中で少々飽きてしまいました。。
オチというかなぞが少々強引で、深堀もない形だったので
ある意味一気に読めます。


内容説明
愚か者と笑えばいい。だが私が日本を救う。絶望感漂う近未来の地方都市で頻発する、老人たちの連続失踪事件。老人を、日本を救うはずの最先端スーツが、殺人現場に残されているとは。乱歩賞作家の最新作!

2012年2月11日土曜日

無罪 深谷忠記

まさに負の連鎖。
いろんな事情が後から後から絡みつき、救えない話しではある。
また、少々「これはないだろ」と思えるような展開もあるので
本格的な2時間サスペンスで豪華俳優陣がでるスペシャルもの
に近いかも。


内容(「BOOK」データベースより)
息子と妻をシンナー中毒の通り魔に殺された新聞記者の小坂は、ある大学准教授の家を見張っている女性に出会った。准教授の妻は11年前、我が子2人を殺しながら心神喪失と判断され、無罪判決を受けていた―。無罪判決が下された時、本当のドラマが始まる。愛する息子と妻を通り魔に殺された男。我が子を殺しながら、心神喪失で無罪となった女。刑法第39条の壁で隔てられた、被害者、加害者双方の苦悩と葛藤を描いた、二転三転の書下し心理ミステリー。

2012年2月10日金曜日

マネーロンダリング・ビジネス 志摩 峻

内容もテーマも深いんだけど、筆力の問題か相性の問題か
分からないけど、ちょっと読みずらい。。

深い業界知識の連発なのでそこは読み飛ばしてしまいました。
でも最後まできちんと読めたので、経済小説としては面白いのかも。

内容紹介
定年後に小説に取り組み、60代で経済小説大賞を受賞した著者が、海外赴任時の経験を下敷きにエンタテインメントに仕上げた経済ミステリ。安易な海外企業買収をしてマネジメントのできない日本企業、派遣労働者の犠牲の上に労働保険を巧妙に操作して私腹を肥やし、マネーロンダリングを行なう輩を追及する。

2012年2月7日火曜日

再会 横関 大

今も本屋で平積みされている名作、らしい。
ただ、個人的には過去の江戸川乱歩賞とくらべて少々インパクトが
弱い気が。。

内容や切り口は旨いけど、最終章やオチがなんとなく、、、個人的には
心に響かなかったです。
でも人気の高い作品です。


内容(「BOOK」データベースより)
誰がうそをついている?幼なじみの四人が校庭に埋めた拳銃は、二十三年の時を経て再び放たれた。それぞれの想い出が重なるとき、時を越えたさらなる真実が目を覚ます―!全てはタイムカプセルにとじ込めた―はずだった。第56回江戸川乱歩賞受賞作。


2012年2月6日月曜日

ヒカルの碁 小畑 健

いわずと知れた名作ですが今始めて読みました。
いやーこれは売れるわ。
設定も面白いけど、周りの状況や成長軸も見事で、はまる人は
ドンハマリと見た。

読む価値はものすごいあり。

出版社/著者からの内容紹介
ある日小6のヒカルは蔵で古い碁盤を見つける。その瞬間、碁盤に宿っていた平安の天才棋士・藤原佐為の霊がヒカルの意識の中に入り込んだ。佐為の囲碁に対する一途な想いが、徐々にヒカルを囲碁の世界へと導いていく…。

2012年2月5日日曜日

パーフェクト・リタイヤ 藤堂 志津子

それぞれのドラマがいい切り口で進んでいき、どれも飽きることなく
読み進められる。
特に共感するとか泣くとかじゃあないけど、話し的には、いい感じの深夜ドラマを
見てるよう。

お昼の開いた時間にさくっと読む程度がよし。

内容(「BOOK」データベースより)
夫が単身赴任中の専業主婦。ブサイクな出張ホストと密会を繰り返す彼女の本当の望みとは…(『六日間』)。会社社長と長年、愛人関係を続けている育美。社長の妻を見舞う毎日で見つけたのは…(『愛のくらし』)。48歳の画家・鮎子。今は年下の彼とは別の男との情事に夢中。ただ、すぐ飽きてしまうのが常だった…(『猫をつれて』)。犬の散歩で偶然出会った若い男。怪我をした由未子の生活に入り込むが…(『バッドボーイ』)。定年退職間近の布沙子。愛人関係に区切りをつけ、苦手な後輩とも対決。そして、もう一つ「完璧な退職」のために計画してきたことが…(『パーフェクト・リタイヤ』)。オーバー40の女性たちの心情を鮮やかに描いた傑作短篇集。


2012年2月1日水曜日

金色のゆりかご 佐川 光晴

なかなかの力作。
医者の卵がいろんな人とのかかわりを持ちながら自分も成長していく
というよくありがちな展開ながら、文章力が旨いのかグイグイ読み進めてしまう。

大きな盛り上がりや泣きポイントがドスンとくることはないのだけど
奇妙な面白さがある。
最後まで読みとめられず、それでいてスカッとするオチは見事。


内容(「BOOK」データベースより)
軽度のうつ病で研修を一時中断し、コンビニでバイトをしている医者の卵・啓介。その店にやってきた制服姿の女子高生が突然倒れた。下腹部にきつく巻かれたさらしをゆるめると、おなかがみるみるせり上がってきて―。いつでも、どこでも、女性だけに起こりうる最大の苦難。未だ見ぬ者への無償の愛を描く著者の最高傑作。