2008年11月28日金曜日

人柱はミイラと出会う ~ 石持 浅海

ちょっとしたパラレルワールドの日本が設定の短編小説。
外国人の目線から日本の風土や風習を切り口として殺人事件を
解決していく。

まあ、小粒で面白いけど、もう一ひねり欲しかったかも。
最後の最後でちょっと笑えるオチが待っている。
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内容(「BOOK」データベースより)
留学生リリー・メイスは、日本で不思議な風習を目にした。建築物を造る際、安全を祈念して人間を生きたまま閉じ込めるというのだ。彼ら「人柱」は、工事が終わるまで中でじっと過ごし、終われば出てきてまた別の場所にこもる。ところが、工事が終わって中に入ってみると、そこにはミイラが横たわっていた。黒衣、お歯黒、参勤交代―。パラレルワールドの日本で展開する、奇っ怪な風習と事件の真相とは。

2008年11月26日水曜日

今日を忘れた明日の僕へ ~ 黒田 研二

井上夢人系の重ね重ね系のミステリー。

記憶をなくした主人公が自分の過去を調べていくうちに
殺人事件の1シーンがところどころよみがえりして。。。

設定は良くある系だけど、展開といい複線といいよくできている。
イッキミで楽しめる。
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内容(「BOOK」データベースより)
あの嵐の夜、僕は事故にあったらしい。それ以来記憶を蓄積できないからだになってしまった。僕は失われてゆく記憶を少しでも補うために、退院以来、かかさず日記をつけてきたのだ、と妻は説明してくれた。さらに事故に遭ってから半年のあいだに、いちばんの親友が失踪したのだとも。しかし親友が実は殺されていたことを知る。その一瞬、血まみれで死んでいる親友の姿がフラッシュ・バックしてきた。「どうして僕は見ているんだ?」…僕の事故と同じ日に死んだ妻の友人、親友の失踪直前に「自殺」した女子高生、さまざまな謎に取り巻かれていく僕。もしかしたら、「僕が殺してしまったのか?」メフィスト賞受賞の新鋭による騙りの新境地。



2008年11月25日火曜日

DZ(ディーズィー) ~ 小笠原 慧

さすが横溝賞をとっただけある。本格的なミステリー。
最後の最後までまったくオチが読めなかった。

ずっとドキドキするのは当然のことで、さらに医療系の
新しい事例やドキュメントっぽい記述もありで多面的に
楽しめる。

しっかし、、最後はそんなオチだとは、、こわいこわい。。
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内容(「BOOK」データベースより)
アメリカ・ペンシルベニア州で、夫婦の冷凍死体が発見された。五歳の息子は行方不明のまま、事件は迷宮入りする。一方、日本では、異常な兆候を示す少女がいた。数年後、恋人を亡くし、重度障害児施設に赴任した女医・志度涼子は、保護室に閉じ込められた少女に出会う。そして、運命の歯車は容赦なく回り始めた―。人類という種が背負った哀しい宿命を、壮大なスケールで描いたヒューマン・ミステリ。第二十回横溝正史賞正賞受賞作。

2008年11月22日土曜日

先生と呼ばないで―研修医純情物語 ~ 川渕 圭一

ほとんどノンフィクションの研修医の話。
結構リアルで、生々しい話。

グロイこともまったくない、苦労話メイン。
本当の医療現場を知ることができて、イマドキ医療系が問題
となっているので、そのあたり知りたい人は是非。


内容(「BOOK」データベースより)
自信満々の外科医の父への反発から遠ざけていた医療への道。患者への医療という立場を志し三十七歳で医者となった。が、病院の実態は患者のための医療を全く忘れ、高額のアルバイトに精を出す医師や教授回診を陰で支える研修医の過酷な労働だった。パチプロ、サラリーマンを経験した著者だから書けた、医療の原点を問うベストセラー初の文庫化。

2008年11月21日金曜日

ミス・ジャッジ ~ 堂場 瞬一

野球のメジャーがここまで盛り上がっている時期だからこそ、面白く読めるかと。

あまり才能がなかった主人公がなんとかつかんだプロ野球への道とメジャー
進出、しかし主人公以上の才能と実力をもった高校時代の先輩も審判として
メジャーデビューしていた。。

躍動感や野球人の精神状態など、いろんな意味で読み応えがある。
推理小説的な切り口や、アメリカ体感的な切り口があるので、野球に
興味がない人も楽しめるかと。


内容(「MARC」データベースより)
メジャーデビューを果たす橘由樹が登板する開幕戦、大観衆の見守るなか、ヤンキース対レッドソックスの激闘が展開される-。大リーガーとなった日本人投手と審判員との確執を描く、書き下ろし長編野球小説。

2008年11月18日火曜日

陽気なギャングが地球を回す ~ 伊坂 幸太郎

相変わらすキャラクター設定がうまい。
会話も見事、展開も二転三転、裏表。

伊坂作品、王道といった感じ。
ただ、まわしきれないような展開もあり、深みや読後感というところは
ちと弱い。

数ヶ月前に「オーデュボンの祈り」と「鴨と・・・・」を読んだせいも
あるけど、比べてしまって、、、という感じ。

Amazon.co.jp
確実に他人の嘘を見抜くリーダーを筆頭に、正確な体内時計の持ち主、演説の達人、天才スリという面々で組織されたギャング団が活躍する長編サスペンス。特異な才能を持つ4人の男女が、思わぬ事態に巻きこまれていく本書は、その真骨頂ともいえる痛快クライム・ノベルだ。

2008年11月15日土曜日

渋谷チルドレン ~ 家田 荘子

家田先生のルポタージュ。多くの人の「ナマの声」を集めている。
たまにぬるいネタもあるけど、それもわざと混合しているかと思われ。

とにかく、「今」を「現状」を「事実」を伝えようとしていて
変に盛り上げたり、ネガティブに持っていこうともしていない。

ルポの見本みたいな本が読みたい人は是非



内容(「MARC」データベースより)
女子高生・女子大生15人の「心とカラダ」を解剖する! 恋愛・初体験・レイプ・援交・性病・堕胎・SM・クスリ・DVそして家族関係…。10代ギャルの甘くて切ないSEXファイル。「事件」の街・渋谷から緊急ナマ告白。

2008年11月11日火曜日

ソリューション・ゲーム~ 伊園旬

前作にくらべて、ドキドキ感やイッキミ感はやや落ちる。
短編ということもあるけど、ひねったり、疾走感が伝え切れてない
印象。

一個の作品をもっとこねくりまわして、がツンとくるものを
作って欲しかった。
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内容紹介
第5回「このミス大賞」受賞作、『ブレイクスルー・トライアル』でデビューした著者による第2作です。舞台は六本木ヒルズ近くのIT系、巨大オフィス。親会社から持ち込まれる日常業務の謎を、子会社「ソリューション(問題解決)・ワークス」の敏腕サラリーマンコンビが鮮やかに解いていく連作短編集。

2008年11月10日月曜日

クローバー 島本 理生

さわやかな青春ものをよみたいときにはちょうどいい。
別に後でためになったり、感動して振るえるって話
じゃないけど、さくっと昔の恋心を思い出したいときに読む作品。

短編的に話が分かれているので、サクサクと。
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出版社からのコメント
世界はうつろい、大切なものさえ変わってゆく??それでも一緒にいたいよ。
ワガママで思いこみが激しい、女子力全開の華子。双子の弟で、やや人生不完全燃焼気味の理科系男子冬冶。ふたりの恋と未来は???キュートで痛快、やがてせつない恋愛長編。

2008年11月9日日曜日

疾走 ~ 重松 清

これまた重く、そして少年の心満載の話。

まあ、重松先生の話は、少年の深層心理がほとんど
だけど、その中でも特に深くえぐっている作品。

少年と少女が軸になり、成長しながら悲劇を繰り広げていき
最後の章立ては、もう、、これが、、また。。。

いつもの重松先生の感動話を期待したら大間違い。

まあ、最後の1Pに重松先生らしさがあるが、とってつけた感が
否めない。
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出版社 / 著者からの内容紹介
引きこもり、家庭内暴力、放火、借金、一家離散……。14歳の少年・シュウジが背負った余りに苛烈な運命。今秋、映画公開が決定した、直木賞作家、畢生の衝撃作、待望の文庫化!

内容(「BOOK」データベースより)
広大な干拓地と水平線が広がる町に暮す中学生のシュウジは、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄の四人家族だった。教会に顔を出しながら陸上に励むシュウジ。が、町に一大リゾートの開発計画が持ち上がり、優秀だったはずの兄が犯したある犯罪をきっかけに、シュウジ一家はたちまち苦難の道へと追い込まれる…。十五歳の少年が背負った苛烈な運命を描いて、各紙誌で絶賛された、奇跡の衝撃作、堂々の文庫化。

2008年11月8日土曜日

柔らかな頬 ~ 桐野 夏生

いかにも桐野先生の作品。
そして直木賞をとるだろうなーという作風。
文学作品を、それも飛び切り重厚なものを読んだ感じ。

下のあらすじだけだと、なんのことかさっぱり分からないけど
用は、重くて切なくて、つらい、そんな文学作品です。

直木賞をとった作品ってどんなものなの?
と思った人は読んでみて。


出版社/著者からの内容紹介
私は子供を捨ててもいいと思ったことがある。
5歳の娘が失踪した。夫も愛人も私を救えない。
絶望すら求める地獄をどう生き抜くか。

「現代の神隠し」と言われた謎の別荘地幼児失踪事件。
姦通。
誰にも言えない罪が初めにあった。娘の失踪は母親への罰なのか。4年後、ガン宣告を受けた元刑事が再捜査を申し出る。
34歳、余命半年。死ぬまでに、男の想像力は真実に到達できるか
直木賞受賞。(石飛徳樹

2008年11月7日金曜日

借金取りの王子 ~ 垣根 涼介

リストラ請負人シリーズ第2弾。

職業によっていろんなパターンや、説得の仕方があって面白い。
会社人には友だちや自分に重ねて読むこともできるからいいかも。




出版社 / 著者からの内容紹介
村上真介はリストラを請負う会社に勤めるサラリーマン。昨日はデパート、今日はサラ金、明日は生保に乗り込んで、泣かれたり、殴られたり。相性バッチリの恋人陽子は恐ろしく気の強い女で、すんなり結婚とはいかないし、真介の前には難題山積み。だけど明日は来る――。他人事でないリストラ話に思わず涙。働く人必読の面白小説!

2008年11月5日水曜日

どこにでもある場所とどこにもいない私 ~ 村上 龍

つくづく村上龍は天才なんだと思う。皮肉で。

こんなに読む人のことを考えないで、自分の感情のまま書きなぐり
それが好きな人が何十万人もいるなんて。

正直、村上ファン以外には絶対お勧めしない作品。
村上作品は、両極に分かれる。

読者のことを考えまくり、売れること、読まれることを前提に書く作品と
デビュー作のように才能だけで各作品と。

個人的には前者をものすごく評価しているので、今回もそれだと信じて
借りたけど、、、大はずれだった。



内容(「MARC」データベースより)
空港ロビー、居酒屋、コンビニ、公園、駅の自動改札…。日常の一瞬に、ふと去来する心の揺らぎ、意識の流れを描く、8篇の本格短篇を収録する。

2008年11月3日月曜日

家族の言い訳 ~ 森 浩美

いやあ、、森先生はすごい。
(この作品は処女作なのですが、以前に、この次の作品を紹介しました)

作詞をすごいと思ったことはないけど、この作品は
読者を「こうしよう」という意図が透けて見えつつも
その意図通りに感動してしまう悲しさ。

短編なので、どれかは絶対泣きがでる、そんな作品群。
電車の中では読まないように。

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出版社 / 著者からの内容紹介
親子、夫婦、恋人、その組み合わせの数だけ存在する愛情の形。それまでの人生で、何らかのわだかまりを持つ人々が、愛情を求めて不器用に生きる姿、それに伴って沸き起こる心の葛藤を現代社会の様々な舞台を使って描く。人気作詞家の処女短編集。

2008年11月2日日曜日

アキハバラ@DEEP 石田 衣良

映画の予告だけみておなかいっぱいだったので
小説には手をつけなかったのですが、なんとなく借りてみました。

ま、、こんなもんでしょ、ってネタ。
映画ありきで、小説を作った感がありあり。

石田先生の独特のリズムや展開の強引さなどが影を潜め
ゴーストが書いたのかってくらい書きなぐっています。

売れてくるとよくある小説の書き方という感で、
この本から石田作品に入ってしまうと非常にもったいないので
この本以外から、是非。



内容(「BOOK」データベースより)
社会からドロップアウトした5人のおたく青年と、コスプレ喫茶のアイドル。彼らが裏秋葉原で出会ったとき、インターネットに革命を起こすeビジネスが生まれた。そしてネットの覇権を握ろうとする悪の帝王に、おたくの誇りをかけた戦いを挑む!TVドラマ、映画の原作としても話題の長篇青春電脳小説。

2008年11月1日土曜日

狂宴の果て ~ 江上 剛

あまり金融らしさは感じない江上作品。

どちらかというと、小学生から青春系を中年の時代まで追っかけていく
という感じ。

途中で金融系の話にもなるが、バブルの時代のよくある話や
貸し倒れやら金融事故やら、本当に使い古したネタをぶん回し
ストーリーを組み立てている。

さすがにネタがなくなってきたのは、取材力もなくただただ、
思いつきまま書いている、という作品。

特によむ必要はないです。