2011年2月28日月曜日

神去なあなあ日常 三浦 しをん

噂どおり、各レビューどおりの面白さだった。
あまり知りえない林業の深みと人間模様、そして田舎暮らしの良し悪しまで
すべてが深堀しつつさらっと読み進められる展開手法を持っている。

短編なのでサクサク進むし、のんびりエッセイ風に進むのではなく
盛り上がりポイント、感動ポイントなども盛り込んでいるので
誰でも楽しめる作品だと思う。

田舎暮らしをしたいひとは特にお勧め。


内容紹介
林業っておもしれ~! 2010年本屋大賞ノミネート作品 美人の産地・神去村でチェーンソー片手に山仕事。先輩の鉄拳、ダニやヒルの襲来。しかも村には秘密があって…!? 高校卒業と同時に平野勇気が放り込まれたのは三重県の山奥にある神去村。林業に従事し、自然を相手に生きてきた人々に出会う。 神去村の人たちはおっとりしている。彼らの口癖は「なあなあ」で、「ゆっくり行こう」「まあ落ち着け」など、いろんな意味に使われているが、語尾にも「な」がつくので、のんびりした感じになる。神去村には林業従事者が多く、百年単位んの作業をしているので、あくせくしてもしようがないと思っているみたいだ。俺は平野勇気。高校卒業式の後、俺の行き先は、担任の先生と母親に決められていた。この神去村で、林業の研修生として働くことになっていたのだ。ローカル線の終点の駅に出迎えに来てくれたのは、髪を金髪に染めたヨキというガタイのいい男だった。チェーンソーの使い方など教えられたところで、俺は「 の雇用」というシステムの応募者にされたのだと知った。しかし、「やっと神去村に若者が来た」と涙ぐんでいるおじいさんを前に帰るとは言えなかった。俺の山の生活が始まった。……。


2011年2月26日土曜日

凍土の密約 今野 敏

今野先生の作品は何度も読んでいるけど、これは少々リズムが
悪かった気がする。。
でも、作品自体に何か不手際があるのではなく、テーマや絞り込む
ポイントを最後までつかみきれなかった読者側にあるのかも。

最後の最後はもう予想通りの台詞で終わった。

内容(「BOOK」データベースより)
赤坂で殺人事件発生―被害者は右翼団体に所属する男。警視庁公安部の倉島は、なぜか特捜本部に呼ばれる。二日後、今度は暴力団構成員が殺された。さらに、第3、第4の事件が…。殺人者はプロ、鍵はロシア。倉島が、敵に挑む―。


2011年2月21日月曜日

時をつなぐ航跡 井上 文夫

テーマといい内容といいすごく興味深かったので
借りてしまったけど、途中で読むのをやめてしまいました。。

完全になれやリズムの相性の問題だけど、こちらの作者の方は
まだまだ不慣れなようで、文章のリズムや深堀の仕方、展開等が
どうにも会わなかった。

内容は非常に面白そうなので、この業界に特化して読みたい人は
最後まで面白く読めると思う。

内容(「BOOK」データベースより)
舞台はN航空―一見、華やかに見える客室乗務員の過酷な労働実態、「健康を返して!」「子育てしながら飛ぶ私たちから仕事を奪わないで!」―切実な声がほとばしる。会社による組合分裂と客乗組合(第一組合)への不当な差別のなかで、客乗組合員の濱砂ゆりえと若き第二組合員・水上菜摘との間に心のふれ合いがはぐくまれてゆく。


2011年2月20日日曜日

ロードムービー 辻村 深月

予想を裏切る泣ける話のオンパレード。
特に冒頭の作品は、最後の最後までオチというか肝がわからなかった。
あえて隠していると思うけど、途中まで何の疑問も抱かなかった。
そのオチというか、隠れた秘密が最後にすごい感動を与えてくれる。

二重三重にも感動ポイントがあるのでぜひ。


内容(「BOOK」データベースより)
誰もが不安を抱えて歩き続ける、未来への“道”。子どもが感じる無力感、青春の生きにくさ、幼さゆえの不器用…。それぞれの物語を、優しく包み込んで真正面から描いた珠玉の三編を収録。涙がこぼれ落ちる感動の欠片が、私たちの背中をそっと押してくれます。はじめましての方にも、ずっと応援してくれた方にも。大好きな“彼ら”にも、きっとまた会えるはず。


2011年2月17日木曜日

ワーキング・ホリデー 坂木 司

元ヤンにいきなり家族ができて、なんとなく立ち直っていく話。
一言でいうとそれだけのよくあるあらすじだけど、短編のそれぞれが
小粒でいい味を出している。

トラブルにはそんなに深みはないけど、徐々に親子の距離が短くなったり
成長したりの書き方が旨くてそこが面白く出世話のようについつい読んでしまう。

最後の最後はなっとくいかなかったけど。

内容(「BOOK」データベースより)
「初めまして、お父さん」。元ヤンでホストの沖田大和の生活が、しっかり者の小学生・進の爆弾宣言で一変!突然現れた息子と暮らすことになった大和は宅配便ドライバーに転身するが、荷物の世界も親子の世界も謎とトラブルの連続で…!?ぎこちない父子のひと夏の交流を、爽やかに描きだす。文庫版あとがき&掌編を収録。


2011年2月15日火曜日

告解者 大門 剛明

表面的な話に気をとられると、水面下で動いている複線を
うっかり見過ごす。
そのくらいうまい感じで別ストーリーが最後のオチに
むかって進行している。

もちろんそのオチがなくてもそれなりに楽しめて、ある意味
悲しい話なんだけど、その水面下の一本の線が最後に繋がる瞬間は
これまたたまらない。

内容(「BOOK」データベースより)
23年前に2人を殺し、無期判決を受けた男・久保島が仮釈放され、深津さくらの勤める金沢の更生保護施設に入寮してきた。凶悪事件を起こしたとは思えぬ誠実な更生ぶりに、次第に心ひかれていくさくら。市内で殺人事件が発生し、寮生に疑いの目が向けられた。さくらは真相をつきとめるべく奔走する。


2011年2月14日月曜日

夢幻の如く ~異聞・本能寺の変~中村 柊斗

いやー面白かった。
どこかの書評で絶賛されていたのでツイ借りたんだけど
これはいい。
むかしライトノベルにはまったことがあり、それをさらに深くして
いい展開を加えたような感じ。
会話や展開やちょっとした薀蓄でもっていくわけじゃなく、筆力と
不思議な深みで最後まで持っていく。

最後の最後もこれまたライトノベルっぽくて最高。

PS
ちなみに一番はまったライトノベルは「異次元騎士 カズマ」です

内容紹介
織田信男は信長から18代目の直系子孫にもかかわらず現代社会から落ちこぼれ、夢も希望も失った男。「この惨めな人生の原因は本能寺の変で信長が殺されたため」と盲信する彼は謎のバテレンから秘薬をもらい、信長の殺害を阻止し、天下統一を成功させるべく戦国時代にタイムトリップするが……。期待の新人によるSF時代巨編!書店員さんからも絶賛の声続々!


2011年2月11日金曜日

廃墟に乞う 佐々木 譲

実はこの主人公のほかの話を知らないので、楽しみが半減かも
だけど、個々の短編は非常に良くできている。

深みあり、推理あり、オチあり。
当たり前のようで、ちゃんと話の要素がうまく入っている短編は少ない。
安心して刑事者を楽しめる、そんな作品です。

内容(「BOOK」データベースより)
13年前に札幌で起きた娼婦殺害事件と、同じ手口で風俗嬢が殺された。心の痛手を癒すため休職中の仙道は、犯人の故郷である北海道の旧炭鉱町へ向かう。犯人と捜査員、二人の傷ついた心が響きあう、そのとき…。感激、感動の連作小説集。


2011年2月10日木曜日

鼓笛隊の襲来 三崎 亜記

完全にアンパイ。
三崎先生の作品が好きなこともあるけど、この不条理世界の普通の話がものすごく
よくできている。
考え抜かれているのか、リズムで作っているのか不明だが、読むほうは
すべてがすっと入り、そのままその世界に浸りながら悲しい出来事や
心に染み渡る出来事を体感する。



内容(「BOOK」データベースより)
赤道上に発生した戦後最大規模の鼓笛隊が、勢力を拡大しながら列島に上陸する。直撃を恐れた住民は次々と避難を開始するが、「わたし」は義母とともに自宅で一夜を過ごすことにした。やがて響き始めたのは、心の奥底まで揺らす悪夢のような行進曲で…(『鼓笛隊の襲来』)。ふと紛れ込んだ不条理が、見慣れたはずの日常を鮮やかに塗り変えていく。著者の奇想が冴えわたる、驚異の傑作短編集。

2011年2月9日水曜日

ラン 森 絵都

いやあ~すごいですね。一気読みです。
森先生らしさは十二分にある青春+家族+ミステリーといいますか。
映画にしやすいなあ、という作品です。

あんまり深くいうと作者の意図とも外れると思うのであらすじには
触れませんが、いろんな角度のニーズに応えられる作品だと思うので
面白い小説が読みたいと思っている小説好きには是非。

内容(「BOOK」データベースより)
越えたくて、会いたくて、私は走りはじめた。直木賞受賞第1作。


2011年2月5日土曜日

スカウト・デイズ 本城 雅人

短編的に展開していくスカウトの話。
ちゃんと一本筋が通って、その裏側やドキドキもあるんだけど
それとは別に個々の話でちゃんといい流れやオチがある小噺が
紛れ込んでいる。

スカウトの裏話やテクニックなど情報誌的な要素もあり
多少野球をやっていた小説好きならたまらない一冊だろう。

ちなみに私は野球経験がまったくなく、野球も見ません。。

内容紹介
スカウトの仕事は、チームにいい選手を入れることだと思っちゃいねえか? シーズン途中の戦力外通告――。ギャラクシーの遊撃手・久米純哉(くめじゅんや)は、球団スカウトに転属となった。そこには、プロ入り拒否表明の選手を翻意させたり、無名の選手を1位指名したり(その選手はその後活躍)と、その手腕が「堂神マジック」と言われる堂神恭介(どうがみきょうすけ)がいた。久米は、グレーゾーンぎりぎりの堂神のやり方に、戸惑うばかり。一方、かつて堂神に煮え湯を飲まされた新聞記者・島岡達之(しまおかたつゆき)は、堂神マジックのトリックを暴くべく堂神に張りつく。 二人は、やがて球界に伝わる情報網「Dライン」の存在に行き着くが……。 第1回サムライジャパン野球文学賞大賞を受賞した、大注目の新星が描く「男たちのかけひき」のドラマ。



2011年2月3日木曜日

天使の囀り 貴志 祐介

いやぁ~、気持ち悪い。
実際、そういう描写はほとんど飛ばしたけど、気持ち悪い。

ただ、内容は面白い。リズムの展開も内容の深さも文句なし。
ミステリーとしての要素や満足度は十分ある。

ただ、、病因が気持ち悪いんだよなあ。。

内容(「BOOK」データベースより)
北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?前人未到の恐怖が、あなたを襲う。



2011年2月1日火曜日

小説の未来 加藤 典洋

たまにはこういう評論もいいかと借りた見ました。
しっかし難しい。。。

言い回しというか言い訳というか。。
本当に授業という感じ。
それはそれで当然いいし、半分までは読めたのでそこまで
いやじゃないけど、これを好き好んで最後まで夢中になって
読む人はそうとうのマニアなんだろう。。

内容(「BOOK」データベースより)
なぜ小説はお猿の電車を歓ぶのか?小説の新しい動きと変わらない魅力を深く、広く、講義形式で解き明かし、これまでにない「読み」から文学の「あらたな十年」に光をあてる、本格的な文芸批評の登場。