2009年11月26日木曜日

インシテミル 米澤 穂信

密室劇の殺人系としてはよくできている。
内容は、帯にも紹介にもあまり触れていなかったのでここでも
触れないが、アガサクリスティーの名作をトレースしつつ
オリジナルのなぞときや推理を盛り込んでいる。

所々、あれ? という記述や意味不明な紹介はあるにせよ
読む価値はあり。


2009年11月24日火曜日

ボトルネック 米澤 穂信

タイムトラベルの話なんだけど、ちょっと消化不良。。
最後のオチが特にしっくりしなくて、続きがあるのが
ぶっちぎって終わるのか、どっちかにしてほしい。

まあ、それ以外の要素では、よくある青春ものなので
そこだけを切り離して考えればいい流れはある。
よくあるパターン、and薄い内容だけど。


内容(「BOOK」データベースより)
亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した…はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。

2009年11月22日日曜日

そして粛清の扉を 黒武 洋

昔映画か同じような小説を読んだ記憶もありつつ、最後までしっかりと楽しめました。
元々、悪いやつらに復習するというパターンが嫌いじゃないのと、最後まで復習が
ちゃんと完了するかどうか、ドキドキしながら読みました。

ホラーサスペンス大賞をとるだけはあり、この手の話が嫌いじゃない人には
満足度がものすごく高い。
是非。



内容(「BOOK」データベースより)
一人の女教師が学校に血の戒厳令!卒業式前日、人質の生徒処刑が始まった。一人、また一人…。もう誰も逃げられない―。周到な計画、警察との攻防。強行突入か、説得か。タイムリミットが刻々と迫る。TV生中継のなか、ついに教師は用意された身代金で、前代未聞の「ゲーム」を宣言した…。第1回ホラーサスペンス大賞受賞作。



2009年11月19日木曜日

永遠の0 (ゼロ) 百田 尚樹

完全に戦争の話。
もちろん、テーマもそうなんだけど、メインである祖父探し
や謎解きよりも、太平洋戦争の裏側的な話や、実態めいた
ことが主軸として書かれている。

また、零戦の性能や当時の武器や飛行機、空母などの専門的な
分析も多く、それはそれで面白い。

戦争の悲惨さをこれでもかと書くわけでもなく、どちらかというと
武器からの側面や作戦的な側面から現実的に戦争の内幕を描いている
ので、思いっきり暗くなるような内容じゃないので、ある意味
安心して読める。

また最後の最後で、メインでもあった祖父探しの大逆転的
オチがあり、それもちゃんと複線も複線も張っていたので
エンタメとしてもいい出来。

あの当時の現実を知りたくてもなかなか一歩踏み込めなかった人には是非。

内容(「BOOK」データベースより)
日本軍敗色濃厚ななか、生への執着を臆面もなく口にし、仲間から「卑怯者」とさげすまれたゼロ戦パイロットがいた…。人生の目標を失いかけていた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子は、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のことを調べ始める。祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されていなかった。元戦友たちの証言から浮かび上がってきた宮部久蔵の姿は健太郎たちの予想もしないものだった。凄腕を持ちながら、同時に異常なまでに死を恐れ、生に執着する戦闘機乗り―それが祖父だった。「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻を志願したのか?健太郎と慶子はついに六十年の長きにわたって封印されていた驚愕の事実にたどりつく。はるかなる時を超えて結実した過酷にして清冽なる愛の物語。

2009年11月18日水曜日

もうすぐ 橋本 紡

妊娠と子ども系の現実を一人のフリーライターの目を通してドキュメンタリー的に
構成していく。

それぞれがよくある話で、淡々の話が流れていく、よくある展開。
キメのオチもなく、どこに向かっているのかも不明。
ただ、これが正解がないテーマだからしょうがないかも。
また、記事的な内容も浅く、そんなに身につく内容でもない。

掲示板の書き込みを小説風に読んでいる感じ。
(実際、小説の中でも、掲示板から派生した取材なんだけど)

重いテーマを軽く読みたいひとは是非。


内容(「BOOK」データベースより)
お子さん、まだ?焦りと戸惑い、嫉妬、胸の中からあふれだす願望。結婚しても、競争は終わらない。妊娠と出産をめぐる現実を書ききった渾身の長編。

2009年11月17日火曜日

暴雪圏  佐々木 譲

こちらも話題の作品。

全体的なレベルはキープしつつも、帯に書かれている内容
の部分は結構少なく、密室激やサスペンス的な要素は薄い。

また、最後の最後まで引っ張って、あっという間に場当たり的に
終るのはいつもの佐々木さん的展開。
小説をサスペンスとして読む人が多いのに、この現実的な
終わり方はちと残念。

誰かがメインで活躍するとか、深堀するとかなく、いろんな
人のエピソードが軽いレベルで紹介され、軽いレベルで
終わっていく。


ただ、読み応えもあるし、刑事ものの小説をザクっと読みたい人には是非。

内容(「BOOK」データベースより)
最大瞬間風速32メートル。十勝平野が十年ぶりの超大型爆弾低気圧に覆われた日の午後、帯広近郊の小さな町・志茂別ではいくつかの悪意が蠢いていた。暴力団組長宅襲撃犯、不倫の清算を決意した人妻、冴えない人生の終着点で職場の金を持ち出すサラリーマン…。それぞれの事情を隠した逃亡者たちが辿りついたペンション・グリーンルーフで、恐怖の一夜の幕が開く。すべての交通が遮断された町に、警察官は川久保篤巡査部長のほかいない―。超弩級の警察小説。

2009年11月16日月曜日

屋上ミサイル 山下貴光

これ、多くのレビューや審査の評価でも出ていたけど、伊坂さんがいなければ
すごい作品になったかも。

設定といい、会話のリズムといい全て伊坂作品のトレース。
作者名を知らない人は勘違いするほど、ある意味できがいい。

ただ、伊坂作品のできの悪い時、くらいのレベルでしかない。

まー残念、です。

2009年11月15日日曜日

同期 今野 敏

話題の作品。

最近刑事内幕ものが多いけど、これは特に公安と所轄、本庁の
三つ巴がメインで、さらに本庁1課と4課の争いが混じる。

ものすごく嫌な人とというのは出てこない分、ストーリーに
集中して読むことができる。
サラリーマン的な悲哀よりも、刑事ものとして面白い。

ただ、同期というタイトルをイメージはあまりなく
同期としての熱い友情めいたものも少ない。

内容(「BOOK」データベースより)
懲戒免職になった同期の公安刑事が、連続殺人の容疑者に。「教えてくれ。おまえはいったい何者なんだ」男たちの前に立ちはだかる最も高い壁―組織の論理。その壁を突破するのは、刑事たちの誇りと絆。現時点での集大成ともいえる最新警察小説、登場。

2009年11月14日土曜日

Dojo―道場   永瀬 隼介

体育会系男子には絶対読んで欲しい短編小説。

空手道場のあれこれ起こる話だけど、それぞれのエピソードも
面白いけど、ところどころに出てくる体育会系にありがちな
心理描写や状況説明が面白い。
あるある系になってて、思わず話よりもそっちのほうが気になった。

もちろん話も最初から最後まで面白い短編が詰まっているので
読み応えも十二分。

内容(「BOOK」データベースより)
会社をリストラされ、先輩の空手道場を預かることになった藤堂忠之は、お人好しだが空手の腕はなかなかのもの。潰れかけの道場を立て直そうと奮闘するが、どこかひと癖ある入門希望者たちが、次次と難題を持ち込んできて…。ひねりのきいたストーリーと鮮やかなアクションシーンが魅力の新・格闘技小説。

2009年11月6日金曜日

真夜中のマーチ 奥田 英朗

個人的には奥田先生らしいと思うけど、悪人などの読者
にしてみると、まったく逆の軽い展開と無茶振りなストーリー。
でも不思議と違和感はなく、どんどん読み進んでいく。

リズムがいいのはさることながら、どれも深く描写せず
最低限の人物描写と状況説明でエピソードがあふれている。



出版社/著者からの内容紹介
青年実業家気取りのパーティー屋ヨコケン。むっつりすけべの一流商社マン、ミタゾウ。高飛車で強がりのモデル、クロチェ。ひょんなことから10億円強奪の計画に乗ることになった3人だが……。

2009年11月4日水曜日

終末のパラドックス 桂木 希

桂木先生お得意の国際サスペンス。

こってり情報や展開や人物描写が詰まっていてあきさせない展開。
たまにくどすぎて読み飛ばしたくなる瞬間もあるけど、次々と
気になる流れ。



内容(「BOOK」データベースより)
渋谷で爆破予告が入る。爆発すれば、ウイルスの飛散で被害者は数百万人に上るという危機は寸前で食い止められ、高名な老科学者・北村正平が容疑者として逮捕された。北村は世界平和実現を各国首脳に要求し、それが呑まれなければ、世界30カ国に仕掛けた同種の爆弾を7日後に一斉に爆発させるというのだ。そうなれば、地球は修復不能な大ダメージを受け、まさに人類存亡の危機となる。世界平和実現のために人類全てを人質に取るという、およそ尋常ではない矛盾したやり口…捜査陣は北村の真の動機を探るべく奔走する。そして、爆弾解除の鍵を握るのは、彼のたった一人の孫娘・愛子だと判明するが、母を亡くしたばかりの13歳の少女は忽然と姿を消していた。アラブが、そしてアメリカが日本が、世界中がただ一人の日本人少女の行方を追う。彼女は本当に世界を救う鍵なのか!?―そして時計の針は刻々と、世界を破滅させる日時へと進んでいく…。


2009年11月2日月曜日

まず石を投げよ 久坂部 羊

評判の医療ミステリー

専門的な話より、マスメディアのあり方や人間性にどちらかというと
主においている。
そのせいか、医療ミステリーという色がなくどっちつかづの印象。
最後の告発もなんかこれでいいのかというような形だし。。

医療骨太系にすればよかったのに。

内容紹介
外科医・三木達志は医療ミスを告白し、患者の遺族にみずから賠償金支払いを申し出た。これに究極の誠意を感じたライター・菊川綾乃は取材に乗り出すが、「あれは殺人だった」との手紙が舞い込む。不倫、自殺、テレビでの医師の心理実験、墜落願望。医療ミスは事故なのか、それとも密かな殺人か。医師の好き嫌いで患者が殺されたら……。現代人の心の奥の深い闇をえぐりだす、『破裂』でベストセラーの著者による医療ミステリー。

2009年11月1日日曜日

brother sun 早坂家のこと 小路幸也

ほのぼの系ゆったり小説。
女性は好きそうだけど、男性はどうかと。。

リズムも話の深さも悪くないけど、記憶に残るエピソードが
少ない。。

最後の最後のエピソードは書き下ろしみたいだけど
いらなかったような。
全てがひっくり返ったネタ。


内容(「BOOK」データベースより)
早坂家の三姉妹、それぞれが感じている、家族の姿。ちゃぶ台を囲みながらそれぞれの思いが一つになったとき、本当の家族の姿が見えてくる。考えたり悩んだり、苦しかったりするけれど、それぞれが補いながら暮らしている。「東京バンドワゴン」シリーズを始め、様々な家族を描いてきた著者が三姉妹を通し描く、新しい家族のカタチ。