2010年12月30日木曜日

少女七竈と七人の可愛そうな大人 桜庭 一樹

先生のいつもの文学的世界観をキープしつつ、青春ものになっているのがすごい。
といっても元々両面をもっているという指摘もあるんだけど。

恋の話ではあるんだけど、ぐちゃぐちゃてきな家族の話でもあるし
不思議少女の内面話でもある。

それぞれ一つ一つに奥深さがあり、読み応えといいリズムで引っ張っていく。

出版社/著者からの内容紹介
わたし、川村七竈十七歳はたいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった
鉄道を愛し、孤高に生きる七竈。淫乱な母は、すぐに新しい恋におちて旅に出る。親友の雪風との静かで完成された世界。だが可愛そうな大人たちの騒ぎはだんだんと七竈を巻き込んで 。

2010年12月29日水曜日

コロヨシ!! 三崎 亜記

相変わらず三崎先生はすごい世界観の作品を書く。
この世界観がある意味自然に入ってきていて、それが
エンタメとして成立しているのがすごい。
図書館戦争と同じすごさを持つが、ここまで連打で出せるのは
ある意味世界感作りのNO1かも。

内容はさておきます。
説明しても分からないだろうから。
ただ、不思議な設定だけどまったく不思議感がなくドキドキはらはら
しながら青春エンタメが楽しめる絶品作品です。



内容(「BOOK」データベースより)
20XX年、掃除は日本固有のスポーツとして連綿と続きつつも、何らかの理由により統制下に置かれていた。高校で掃除部に所属する樹は、誰もが認める才能を持ちながらも、どこか冷めた態度で淡々と掃除を続けている。しかし謎の美少女・偲の登場により、そんな彼に大きな転機が訪れ―一級世界構築士三崎亜記がおくる奇想青春小説。

2010年12月28日火曜日

少しだけ欠けた月―季節風 秋 重松 清

重松先生の作品を読みすぎたせいもあり、どれがどれだか分からない
状態に。。

これだけドスンとくる作品ではなく、重松先生の作風が好きな人が
さくっと読むか、こころ温まるエピソードを端的に読みたい人にはどうぞ。


内容(「BOOK」データベースより)
静かな、静かな、ひとりぼっちの月。ぼくたちは明日から、もう家族じゃない。澄んだ光に満ちた秋が、かけがえのない時間を連れてくるものがたりの歳時記―「秋」の巻、12編。


2010年12月26日日曜日

わくらば日記 朱川 湊人

こちらの作品、実は2回目であります。

前にどんな書評を書いたのか覚えていないのだけど
今回はサクサク面白く読めました。

読んでいるうちにオチがうっすら思い出してしまうのだけど
それでも読み応えはありました。
推理であり、姉妹愛であり、家族ものであり、歴史ものでもある。。

不思議な短編集です。


内容(「BOOK」データベースより)
昭和三〇年代。当時私は東京の下町で母さまと姉さまと三人、貧しいながらも仲むつまじく過ごしておりました。姉さまは、抜けるように色が白く病弱で、私とは似ても似つかぬほど美しい人でしたが、私たちは、それは仲の良い姉妹でした。ただ、姉さまには普通の人とは違う力があったのです。それは、人であれ、物であれ、それらの記憶を読み取ってしまう力でした…。小さな町を揺るがすひき逃げ事件、女子高生殺人事件、知り合いの逮捕騒動…不思議な能力を持つ少女が浮かび上がらせる事件の真相や、悲喜こもごもの人間模様。現代人がいつの間にか忘れてしまった大切な何かが心に届く、心温まる連作短編集。

2010年12月22日水曜日

どれくらいの愛情 白石 一文

やばい、、、印象に残るシーンが一つもない。。。
読み飛ばしてしまいました。。



内容(「MARC」データベースより)
HOW DEEP IS YOUR LOVE? 離れていても、愛し合えるのか。現実よりもリアルで、映画よりも素敵な恋の物語を4話収録。『小説宝石』『オール読物』掲載作品に、書き下ろしの表題作を加えて単行本化。


2010年12月21日火曜日

誘拐児 翔田 寛

久しぶりの本格推理。
読み応え的には問題ないのだけど、巻末の書評にあったように
ちと細部が弱い。

筆力と展開でグイグイ持っていくので最後まで
読み進めてしまうのだけど、この前に読んだ小説と比べて
しまい、少々物足りない感があるのも事実。

次回作期待です。

内容(「BOOK」データベースより)
終戦翌年の誘拐事件。身代金受け渡し場所、闇市。犯人確保に失敗。そして十五年後、事件がふたたび動き出す―。人間の非情と情愛を見つめる魂の物語。第54回江戸川乱歩賞受賞作。


2010年12月20日月曜日

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb 道尾 秀介

いや~、相変わらずすごい。
ものすごい。
この人本当に第一線ですね。

内容的にははらはらドキドキで進んでいるだけど、ある一つのオチに
向かって水面下でゆっくり動いている。
それがドカンとはじけたときに、この作者のすごさを実感することになる。

奥深いよく練りこまれた小説が読みたい人には是非。


内容(「BOOK」データベースより)
“詐欺”を生業としている、したたかな中年二人組。ある日突然、彼らの生活に一人の少女が舞い込んだ。戸惑う二人。やがて同居人はさらに増え、「他人同士」の奇妙な共同生活が始まった。失くしてしまったものを取り戻すため、そして自らの過去と訣別するため、彼らが企てた大計画とは。


2010年12月17日金曜日

吉祥寺の朝日奈くん 中田 永一

正直、吉祥寺はあまり関係なく、不思議なつながりを持った短編連作。
一つ一つに個性があり、ハッピーでもなくど不幸でもない
ある種の「雰囲気」でぐいぐい持っていく系。

どれか一つは必ず気にいると思われ。



内容紹介
収録作品
交換日記始めました! 恋人同士の圭太と遥が内緒で交わしていた交換日記。二人だけの秘密だったはずが…。
ラクガキをめぐる冒険 高校二年のときにクラスメイトだった遠山真之介。五年後の今、不思議なことに同級生の誰も彼のことを憶えていないのだ。
三角形はこわさないでおく ツトムと小山内さんと、俺。ツトムは小山内さんが気になり、小山内さんは…? 微妙なバランスの三角関係の物語。
うるさいおなか 私のおなかは、とてもひんぱんに、鳴る。そのせいでどうしても積極的になれなかった私の前に、春日井君があらわれて…。
吉祥寺の朝日奈くん 山田真野。上から読んでも下から読んでも、ヤマダマヤ。吉祥寺に住んでいる僕と、山田さんの、永遠の愛を巡る物語。



2010年12月16日木曜日

太郎が恋をする頃までには 栗原 美和子

出た当初から気になっていたので本格的に読むことにしました。
正直、ドラマとしての内容や盛り上がり、ストーリー性などは
たいしたことないです。

ただ、リズムと展開手法がよくて飽きることなくサクサクは
読めました。

切り口についてはいろんな意見があると思うのであまり触れませんが
このオチでなくてもいいのでは? とは思います。
事実は違うのでそこは一安心ですが、

差別的な話についてあまり知識がない人の最初の一歩としては
いいかもです。

内容(「BOOK」データベースより)
祝福された結婚だった。彼が一族の歴史を告白するまでは。今も残る結婚差別を描く衝撃作。

2010年12月15日水曜日

炎の商社マン (上巻) 小林 真一

上下とも読みました。
途中途中で飛ばしましたが。

ただ、あまり知らないテーマと主人公が東欧での
展開が多いのでそういった一面では面白かったです。

内容はさておき、書き方とリズムがなんとなく合わなかった。
書きなれていないような気がする、と思ったらこれがデビュー作品でした。

内容紹介
こんな男が一人いれば、その会社は潰れない。 十年間下積みに甘んじた男が所を得るや、停滞の中に安住する名門商社を革新に導く。一人でも会社を変貌させるのが男児だ!!


2010年12月10日金曜日

世界は俺が回してる なかにし 礼

個人的に好きな昭和の芸能史もの。
まったく知らない人なんだけど、ありがちな事例と進み方なので
かえって面白い。
こういう昭和の芸能だったんだ~とうなずきながら楽しめる作品。

内容(「BOOK」データベースより)
昭和三十年代、黎明期のテレビ業界に身を投じた一人の男がいた。己のセンスだけを信じ、音楽番組制作にすべてを賭けた彼の名は渡辺正文、通称「ギョロナベ」。剛腕プロデューサーはやがて、未曾有の大イベント「東京音楽祭」を成功へと導く。テレビ黄金期を駆け抜けた破天荒な男を通し、全ての日本人にエールを贈る、なかにし礼の新たな代表作。


2010年12月7日火曜日

図書館内乱 有川 浩

なんとなく借りてしまいました。
1年ぶりくらいに読みました。

やっぱり面白いなあ。。。
感想は前と同じです。。


出版社 / 著者からの内容紹介
相も変わらず図書館は四方八方敵だらけ! 山猿ヒロインの両親襲来かと思いきや小さな恋のメロディを 叩き潰さんとする無粋な良化「査問」委員会。 迎え撃つ図書館側にも不穏な動きがありやなしや!? どう打って出る行政戦隊図書レンジャー! いろんな意味でやきもき度絶好調の『図書館戦争』シリーズ第2弾、ここに推参!
――図書館の明日はどっちだ!?

2010年12月6日月曜日

スナッチ 西澤 保彦

これ、予想外にSFでの設定だったのでちょっとびっくり。
最後はいまひとつよく分からない落ちだったんだけど、それまでは
リズムもテーマもエピソードも面白くサクサク読み進めました。

ただ深みはあまりなく、そうなんだ~、的な感想をそれぞれで
もっておしまい、という感じです。

SFの展開は要らないような気がするけど。。。

内容(「BOOK」データベースより)
22歳だった。次の日、ぼくは53歳になっていた。空白の31年。ぼくは、きみは、ぼくたちは、少しは幸せだったのだろうか。彼を襲ったのは、不条理でやりきれない、人生の黄金期の収奪。あらかじめ失われた、愛しい妻との日々。おぼえのない過去を振り返る彼に、さらなる危険が迫る。


2010年12月5日日曜日

クラウディア 奇蹟の愛 村尾 靖子

ごめんなさい、、、半分読んで辞めてしまいました。。。
ノンフィクションだから盛り上がりを期待してもしょうがないことなのですが
あまりにも淡々し過ぎていて、、、もうだめでした。。。

内容(「BOOK」データベースより)
ここに、戦争によって人生を翻弄された1人の男と2人の女の物語がある。最悪の人生を課せられながらも、最高の愛の形を遂げたクラウディアの信念は、比類なき崇高さをたたえた手紙となって愛なき現代に届けられた…。


2010年12月1日水曜日

るり姉 椰月 美智子

まったく期待しないで読んでみたらこれがまた面白く一気読みだった。
一人の女性を取り巻く人たちの連作なんだけど、よくある感じではなくて
それぞれのキャラが立っていて、別の話ではまったく違う印象だったのに
その人の話になるとものすごい深みとストーリーが展開される。

この手の家族小説ではいい感じの作品


内容紹介
三姉妹が慕う、母親の妹のるり姉は天真爛漫で感激屋。周りの人々を楽しい気分にさせてくれる天才だ。だが、そんなるり姉が入院した。季節を遡り、三姉妹や母親、るり姉の夫の視点から、元気だったるり姉との愛おしい日々が語られる。日常にある幸せが一番大切だと気づかせてくれる連作家族小説。