2014年10月18日土曜日

起終点駅(ターミナル)  桜木 紫乃

どれも深くそして記憶にも感情にも残る作品。
質実剛健というか、骨太の短編集なのでそのあたり
編集者の深い思いが感じられる。

ただ、残念なことに、、なぜかあと一歩が足りない。それが
なんなのかは説明が難しいんだけど、この本を人に強く勧める
までも行かない、というのが正直な感想。


内容紹介
生きて行きさえすれば、いいことがある。

笹野真理子が函館の神父・角田吾朗から「竹原基樹の納骨式に出席してほしい」という手紙を受け取ったのは、先月のことだった。十年前、国内最大手の化粧品会社華清堂で幹部を約束されていた竹原は、突然会社を辞め、東京を引き払った。当時深い仲だった真理子には、何の説明もなかった。竹原は、自分が亡くなったあとのために戸籍謄本を、三ヶ月ごとに取り直しながら暮らしていたという――(「かたちないもの」)。
道報新聞釧路支社の新人記者・山岸里和は、釧路西港の防波堤で石崎という男と知り合う。石崎は六十歳の一人暮らし、現在失業中だという。「西港防波堤で釣り人転落死」の一報が入ったのは、九月初めのことだった。亡くなったのは和田博嗣、六十歳。住んでいたアパートのちゃぶ台には、里和の名刺が置かれていた――(海鳥の行方」)。
雑誌「STORY BOX」掲載した全六話で構成予定です。



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