2008年7月17日木曜日

グロテスク 桐野 夏生

実際にあった事件をモチーフに、一人称で語られる小説。
グロテスクというタイトルは最後の最後にチラッと触れる程度で
内容自体はまったくグロテスクじゃない。

筆力はいつもどおりすばらしく、好き嫌いが分かられるが、口語体の独白展開が
自分はいやいやながらもグイグイ引き込まれて、一気読みの状態だった。

非常に長く、上下巻に分かれて販売するほど。
ただ、読んでいくうちに長さを忘れて次々と知りたくなるのが桐野先生の怖いところ。
他のレビューも総じて評価が高く、食わず嫌いだが読んだら分かる、そんな本の典型的パターン。



【本書の内容】
世にも美しい妹ユリコを持つ「わたし」は、ユリコと離れたい一心でQ女子高を受験して合格し、スイスに住む両親と離れて祖父とふたり暮らしを始める。エスカレーター式の名門Q女子高は厳然とした階級社会であった。佐藤和恵という同級生が美人しか入れないという噂のチアガール部に入ろうとして果たせず、苛立つのを、「わたし」は冷やかに見守る。
夏休み前に母が自殺したという国際電話が入る。ユリコが帰国するというので、「わたし」は愕然とする。同じQ女子高の中等部に編入したユリコは、その美貌でたちまち評判になるが、生物教師の息子木島と組んで学内で売春し、それがばれて退学になる。和恵はQ大学から大手のG建設に就職した。―そして二十年後、ユリコと和恵は渋谷の最下層の街娼として殺される。


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